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革新的なスイッチャーのお話

札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。

先日、資材を仕入れにホームセンターを徘徊していたところ、自分の使っているコーヒー用のケトルがあったのですが、値段がハネ上がっていて三度見しました。なんでもかんでも高くなっていきますね…。あ、あ、あ、上がる前にコマンダンテが欲しい…。

はい、Limetone Audio さんからスイッチャーが出ましたね。と偉そうに言ってみましたが、先日、お客様からお聞きして知りました。ウップス。

何か新しいモノが出るとこれまですでにあるモノとどうしても比較してしまいます。廉価版、同等、革新的、ざっくりそんな風に無意識にイメージしがちで。

さっそく動画を見てチェックしてみましたが、私が最初に思ったのは『あ、逆なんだ。』です。これはユーザーさんのことをもんのすごく考えられているのではないか、すごいな、と思いました。

その点は最後に。

その次に圧倒的に革新的、と思いました。短い動画で超なるほどー、と理解できてしまうほどに操作は簡単、さらに拡張性もあり、これにしたい、ぜひとも、という方、いよいよスイッチャーってのを入れてみるかー、となる方、増えるんじゃないかと思います。

オフィシャルの動画で充分かと思いますが、このスイッチャーが本当にすごいんで特徴的な部分、エフェクター好き人間として勝手にピックアップしてみました。

プログラムメインの方に超最適

まずはじめに、スイッチャーは単純に ON/OFF を管理するのみの完全マニュアル・タイプとスイッチャーのループ内に接続したエフェクターの ON/OFF を複数組み合わせることのできるプログラマブル・タイプがあります。

プログラマブル・タイプは上記の直感的操作感、ON/OFF のみのマニュアル・タイプをモードで切り換えることができますので、どちらもイケるモノがほとんどです。

LimetoneHOME 3BL のモード切り換えは『M』の ボタン。ここを押すとマニュアル・モード。

単純にループの ON/OFF のみでも使用可能ですが、これは組み込み完成後、音が出るか出ないかのチェック時くらいしか使わないのでは…、と思ってしまうほどプログラマブル・モードにシフトしているスイッチャーな気がします。

そのプログラムの手順が恐ろしくスマートです。

初めてでも説明書なしで扱えそう

#1.
プログラムしたい No. を手前の 3 つのフットスイッチ、PG1(PG4)、PG2(PG5)、PG3(PG6)、 から選びます。シフトを押すと( )内の No. を選べます。shift フットスイッチを押すと点滅、点滅時に再び PG1(PG4) のフットスイッチを押すと PG4 になる、文字にするなら (PG1) PG4 ということですね。

#2.
使用するエフェクターを小さいスイッチで選びます。このスイッチ、LimetoneHOME 3BL 単体でのご使用時は L1、L2、L3 ボタンのみを使用します。B1、B2 はさらに 2 ループ追加できる拡張機材、LimetoneBASE を接続した時に使用します。選ぶと同時に記憶されますので、これまでの常識であるループを選んだ後の STORE や SAVE など記憶させるボタンを押す必要がなく、そもそもそれらのスイッチもありません。ナイス。

LOOP ON/OFF スイッチと L1、L2、L3 フットスイッチは連動しています。

座ってプログラムする時は上の小さなボタンでポチポチ、立って演奏しながらプログラムする時は下のフットスイッチを踏み踏み、どちらのやり方でもイケるということですね。

LimetoneBASE 接続時、B1、B2、のセレクトは LOOP ON/OFF スイッチでできますが、立って演奏しながらプログラムしたい時は LimetoneHOME の shift フットスイッチを押すことで L1 のフットスイッチが B1、L2 のフットスイッチが B2 に割り当てられます。

拡張してもどちらのやり方でもイケるということです。

スイッチャーになんとなく苦手意識、操作が困難そう、よくわからない、といったイメージをお持ちの方、実際多いですが、スイッチの数が少ないというのは見た目的にもこれなら安心、となると思います。『これなんのボタン?』ってなるのが皆無なんですもの。

直感的操作でイケる裏モード、両面ととらえるなら “6”

各フットスイッチには裏モードが存在します。この機能があるスイッチャーもありますがLimetoneHOME 3BL はやはりプログラム方法がビビるほどに簡単です。

プログラマブル・モード時、たとえば PG1(PG4) が選択されている時に、もう一度同じスイッチを踏むとフットスイッチ側の LED が青から赤へ変化します。

表(青)はバッキング、裏(赤)にはさらにブースターをかますなど、ひとつのスイッチに2 つプリセットを割り当てることが可能ですので、もっかい踏むとブーストみたいな、激しくわかりやすい感じは『裏的』ですが、捉え方はもう『両面』でも良いと思います。

どういうことかと言いますと、元々、5 ループあるスイッチャーはフットスイッチが5 個あることがほとんどです。ですのでプリセットも 5 種(1~5)までは表面上ですぐに操作が可能、シフトを押して次のバンクにしたらもう 5 種(6~10)、になっていく、という感じです。

LimetoneHOME 3BL は 3 ループでプリセットはまず 3 個、でももう一度踏むと変わる裏モードがそれぞれのフットスイッチに隠れていますので 3 x 2 = 6。

シフトを押さずとも表面上の操作だけで 6 個のプリセットが操れるわけです。

でも裏モードの設定は難しいんじゃ、となりそうなものですが、簡単です。

LED が赤の時、使用したいエフェクターを L1、L2、L3、(B1、B2)ボタンで選ぶだけです。

裏モードは一旦表のコピー、とのことで青から赤に変えた時、セッティングは青と同じですが、ここで外す、外さない、足すを再度選択するのみです。

言い方はアレですが、なんかこう、全部丸出しって感じがします。わかりやす過ぎる。

強いてデメリットをあげるなら L1 フットスイッチの通常から L3 のフットスイッチの裏モードを次に使いたい、となった時、トントンと L3 フットスイッチを 2 回踏む必要がある、くらいでしょうか。プリセット位置の工夫でなんとかできてしまいますが。

セットで使いたい LimetoneBASE

LimetoneBASE を追加するとLimetoneHOME 3BL で管理できるループを 2 つ増やせます。

実質、エフェクターの数は 5 ループのスイッチャーと同じになります。

でも表面上は表裏の 6 プリセットセレクト可能、シフトを押せばもう 6 種類、合計 12 種類のプリセットを設定方法も使用方法も激しく簡単に操作できます。

6 プリセット、シフトをまるごと裏モードととらえて、もう 6 プリセット、簡単につくれる 12 種類のプリセットを超簡単に操作できるスイッチャー、と考えるとこれ、すごいんじゃない!?ってなりそうで、すでに私がそうなってます。

さらなるメリットは小さくて軽いです。

LimetoneHOME 3BL が 452g。LimetoneBASE は 350g。

合計しても 1kg を切る 802g。

LimetoneBASE はエフェクターの下に設置想定の機材ですのでエフェクターボードのサイズには影響しないんですよね。

軽量コンパクトを重視、多機能をも実現できる組み合わせって2025年5月現在、これ以上のセットはないんじゃないでしょうか。

簡単便利ゆえにスイッチャーが身近な機材になるきっかけの製品とも言えると思います。

という驚きから、現物を見たこともないのにメルマガにしちゃう初の衝動です。

事細かにプリセットをつくりたい方には 12 だと少ない、となる方もいらっしゃるかもしれません。

プリセットが 100、200 を超えるスイッチャーもありますが、フルで使いきっている方は多くはないのではないでしょうか。12 に絞ってフルで使い倒す、機材の機能を最大限に活かし切っている私、そんな感覚も味わえそうです。

ノン・バッファー仕様

スイッチャー内蔵のバッファーを使う、使わないを内部の設定で変えられたり、入力端子を変えることでバッファーを通す、通さないを選べるスイッチャーもありますが、こちらはノン・バッファー、シンプルになっていけばいくほどに操作に迷いがなく、軽量コンパクト化も進みます。でも音質は犠牲にしないという設計がすごい。

バッファーありとなし、どっちに繋げばいいんですか?って聞かれることも減りますね。私的に。

余談ですが、チューナーアウトが MUTE スイッチ ON の時のみ、チューナーに信号がいく、というのもひとつのポイントかと思います。

ここはお好みが分かれるところかもしれませんが、常時チューナーの LED が動いてるのが気になるから演奏時はチューナー OFF ってるって方もいらっしゃるんですよね。

また、スイッチャーとチューナーの組み合わせによってはMUTE が ON じゃない時、なぜかずっと B の微妙なシャープのところで固定されるということもありました。MUTE ON 時は正常に機能するんですけどね。

そんなことも怪奇現象的なことも起こらないようになっています。

『逆なんだ』

最後に、最初に思った『逆なんだ』についてです。

なんだそんなこと、と思う方もいらっしゃると思いますが、実際、ボード製作のご依頼時、こういう風にしてほしい、という方もいらっしゃいます。

多くのスイッチャーはループの番号が左から順に 1、2、3、となっています。

LimetoneHOME 3BL はここが 3、2、1、と逆になっています。

エフェクターボードが直列接続の場合、そのほとんどは入力と出力の関係から右から入って左から出る、歪み系に始まり、空間系にいく流れが基本的な並びです。

これを多くのスイッチャーと並べるとエフェクターの並びとスイッチ No. が反対になるんですよね。図にするとこんな感じです。

直感的にこれはここのループですよ、って見える並びに自然となる、あれこれどこだっけ?ってならないようになっているわけですね。

背面の接続端子はだいたいのスイッチャーは右から 1、2、3 と進んでいきます。

接続端子の並びはいいんだけど、エフェクターとループ番号の位置を視覚的に合わせたい、となるとパッチケーブルに長さが必要になるわけです。

ここがですね、逆なんだ、に続いて、絶対いいだろうな、と。

頭の中から無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう? ねぇー。と聴こえてきたわけです。

小型のボードにもコレはあったらいいなー、中型、大型ボードなら LimetoneBASE も追加したらマジ便利だなー、さらにはスイッチャー入門機としても最適かと思います。

まだ書きたいことはありますが、久々に長いのでひとまずこの辺で。(2週に分ければ良かった笑)

■ HNEBD 地獄通信 -お知らせ- ■

★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを  「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。

★ 過去製作は Instagram に載せておりますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら

『全都道府県に製作実績を』を今後の目標にしておりますので、日本全国よりご相談、製作のご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。

根尾悠のヘルニアエフェクトボードデザイン

 

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