

札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。

はい、先週に引き続き、アウトプット・バッファについて同じ方へメールの返信を書いているうちに、あ、これ書けばよかった、もしかしたらこういう理由でこうなってるのかも、といった考えが後々出てきたので今回は先週の続編、という感じになっています。
ちょっとマニアックかもな内容です。
先週はざっくりと、エレキギターの出力は主にノイズの影響を受けやすいハイ・インピーダンスでノイズの影響を受けにくいロー・インピーダンスに変換するのがバッファ、トゥルーバイパスのエフェクターが複数個、全部 OFF で使用することがある場合はギターからアンプまでハイ・インピーダンスでの取り回しになってしまうので、音質劣化面、対ノイズ面で注意が必要、という内容でした。
バッファを通るとロー・インピーダンスになる、トゥルーバイパスのエフェクターもON になればロー・インピーダンスになるわけですが、バイパスの切換ができるエフェクターを最終段にハメてトゥルー or アウトプット・バッファ として試してみるとそこでの効果はどうなるか、という実験もありました。
最終段が空間系でバイパスの切換ができる strymon なども、出荷時はトゥルー・バイパスですが、バッファード・バイパスにすることで同じ実験ができることを追記しておきます。
※ REVERB BYPASS スイッチを押したまま電源をオンにするとバイパスモードが切換わります。(第一世代)
※ 第二世代 (V2) は上記操作で LED が点滅後、フットスイッチは解放、MIX を操作して LED が赤くなったらバッファード、緑がトゥルー、切換えたい色の状態でフットスイッチを押すと切換確定です。

で、もうちょっと書くと、トゥルーバイパスのエフェクターが出てくるまではバッファ回路内蔵が基本だったわけで、エフェクターでアウトプット・バッファって考え方はそもそもなかったんじゃないか、とも思ったわけですね。後から。
ここで突然ですが、接続の基本に『ロー出し、ハイ受け』というものがあります。
ギターの信号は主に電圧で伝わります。
この電圧の信号を劣化なく伝えるには、出力インピーダンスは低く(ロー)、入力インピーダンスは高く(ハイ)、出力はローで入力はハイが理想的、ということを表した言葉になります。
そんな中、エレキギターは主にハイ・インピーダンスのため、いきなりこの理想を外れた『ハイ出し』になっているわけです。
(主に、というのはアクティブ・ピックアップなど、ロー出しなものもあるためです。)
なのでギターから近いところ、ボードの先頭近辺にバッファ、もしくは常時 ON のエフェクターがあると、そこでロー・インピーダンスに変換されるので信号の劣化、すなわち音質劣化を防ぎ、ノイズにも強くなる、ということですね。
ここがうまくいっていないと音が妙にか細くなったり、そもそも小さかったり、なんだかこもったように聴こえたりと、明確に劣化してしまうことがあります。
わかりやすい例はボリュームペダルかと思います。
昔からある定番モデルで BOSS / FV-50H、FV-50L はみなさん一度は見たことがあるんじゃないでしょうか。
FV-50H の “H” は High (ハイ)、ハイ・インピーダンス入力仕様、FV-50L の “L” は Low (ロー)、ロー・インピーダンス入力仕様、見た目はほぼ一緒でも入力インピーダンスが異なります。
パッシブのギターの直後につなぐなら H、エフェクターの後につなぐなら L を、上記のとおり、つなぐ位置を間違えると適切な効果を発揮してくれないわけですね。
過去製作のボードから BOSS / FV-500L です。
L はボードの最後の方、左側になりがちですが、操作する足に合わせてレイアウト可能です。

余談ですが、昭和生まれの私は BOSS / FV のイメージは完全に 50 なんですが、最近は 30、500 なんでしょうね…。
まぁ、これらのモデルも同じように H と L で分かれています。
BOSS に限らず、H と L で分かれていたらそういうことです。
BOSS / FV-30 は…と過去製作で見つけたと思ったら筐体を使用したモディファイペダル、LTV-30L でした。

他にも FUZZ にはハイ・インピーダンスで受けないと本領発揮してくれないモノも存在しますので、使うモノ、使用状況によって接続順を考えないといけません。
しかしどんなエフェクターの順番でも実際につないで弾いてみて、こっちの方が好みな音!と感じたのなら、セオリーどおりでなくともそれがその人の正解、オリジナリティという世界でもあります。
音は自由なモノですし、バッファードでもトゥルーバイパスでも単体バッファがあってもなくても音は出るので、その自由過ぎるところがバッファについてお問い合わせいただいてきた方々の、あった方がいいの?なくてもいいの?と悩まれている要因、なんじゃないかと思うんですよね。
で、ですね。先の方とのやりとりの中でこんな内容がありました。
Q :
『理論的と言うか、(バッファ)本来の目的はそういう物でしょうね。ただ不思議なのは、それで音が良くなることがある、ということです。インピーダンスの変換で音が良くなるのはどうしてなんでしょうね。』
お問い合わせに対しての私の返信がこちらです。
A :
『ハイ受け・ロー出しの基本の中でも組み合わせでよりうまくいくことがあるんだと思います。ロー出しと言ってもその数値はエフェクターによってバラバラですので、そこがしっくりくる組み合わせだったり、自分が好きだと感じる音質になったり、機材も好みもバラバラなので、どうしても相性がある、という言葉が便利でまとめてしまいます(笑)。』(原文ママ)
この返信の理由として、エフェクターの説明書、ホームページなどで入力インピーダンスと出力インピーダンスはだいたい記載があります。
同じメーカーでも出力インピーダンスは 1kΩ だったり 2 kΩだったり、10 kΩだったり、モデルによって異なります。
バッファを通ることで変換されるのがローの中でも微妙に上下する、バッファで音が変わる、というのはバッファの良し悪しに加え、そういうところも関係しているのではないかと思います。
こう考えると数が多ければ多いほど、バラつきは出ますよね。
と書いた後に AREA 8 BOARD のことが思い浮かびました。

100% セオリーどおりにしても、絶対にうまくいくとは限らない、値段が高ければ絶対的に良いというモノとも言い切れない、好みの部分は千差万別、というある種特殊な物体がエフェクターだと思います。
あれでもない、これでもないと入れ換えていろんな組み合わせを弾いて試した結果、これが良い!となったのが AREA 8 BOARD になったわけですが、各エフェクターの入力、出力のインピーダンス数値を見てみました。
先頭のチューナー、tc electronic / polytune 3 mini には同メーカーより単体バッファとしても販売されている BONAFIDE BUFFER 回路が内蔵されています。
このバッファは ON/OFF が可能です。
直後の Ep-booster は常時 ON がおすすめで、その際、手前のバッファは OFF の方が良いと感じ、AREA 8 BOARD では polytune 3 mini はトゥルーバイパスの状態で出荷しておりますため、先頭はトゥルー、そのまま通過させているので省略しております。
その後の入力インピーダンス、出力インピーダンスはこんな感じです。
■ 2 : Xotic / Ep-booster
・入力インピーダンス : 1000 kΩ
・出力インピーダンス : 1 kΩ
■ 3 : Xotic / RC-Booster V2
・入力インピーダンス : 500 kΩ
・出力インピーダンス : 10 kΩ
■ 4 : Xotic / Soul Driven
・入力インピーダンス : 500 kΩ
・出力インピーダンス : 10 kΩ
■ 5 : UNIVERSAL AUDIO / Del-Verb
・入力インピーダンス : 500 kΩ
・出力インピーダンス : 0.5 kΩ
1000 kΩ のもっとも高い数値でのハイ受け、中間はどちらも同じ値で最終数値はもっとも低い 0.5 kΩ でロー出し。
作った時はここまで考えておりませんでしたが、もしかするとこれが、とくに Soul Driven を他で使ってた時よりもずっと良い音に感じたゴリンゴリンの正体だったんじゃないか?と今になって思います。
数値で見ても理想的で結果、相性がピッタリだった (んじゃないか)、というお話。
なんだかこのための宣伝のようになってしまって、ちょっと予想外の着地でイヤなのですが、AREA 8 BOARD は 4月16日(木) 受注分まで、ステッカー&ピック プレゼントキャンペーン中です!
むかしまっこう、さるまっこう。
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★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せておりますのでチェックしていただけると嬉しいです。『全都道府県に製作実績を』を目標にしておりますので、日本全国よりご相談、ご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。