ギターのレシピの山脇オサムです。
エレキギターの誕生をさかのぼってみると、最初に登場したのは1930年リッケンバッカー社の「フライングパン」と言われるギターです。
フライパンみたいだからそう呼ばれてるんですけど、ん〜、ちょっとムリありますよね。こんなフライパンがあったら腕ピーンなって大変ですもん。
ギターの電気化はむちゃくちゃ紆余曲折があって、ジョージ・ビーチャムという人が研究しまくってやっとの思いでできたのがこれです。販売されたのは鋳造アルミ製なんですけどプロトタイプは木製。
今のピックアップの元になる「弦の振動を直接拾う」という革命を起こしたピックアップを搭載しています。
当時のギタリストからしたら相当なインパクトです。だってそれまでギターの役割って、伴奏の補助として念のため弾いてる、みたいな扱いだったんです。
それがピックアップ搭載したことでピアノにも管楽器にも負けない音量が出せるようになったっていう。
でもフライングパンをよく見ると、ブリッジの近くで弦を覆うように金属が付いてますよね。
これがピックアップなんですけど、「弾く時に妙に当たってちょっと邪魔かなー」という意見もあったんです。スティールギター派生なのでそういう仕様なんだと思いますが。
なんとかならないかなー、という時にサクッと解決してみせたのがあのギブソンです。
職人に「こういうピックアップ作ってくれない?」とお願いしてわずか数週間でできたのが、弦を覆うのではなく弦の下に埋め込むタイプのピックアップです。今のピックアップそのものですね。
これは良いものできたぞ!ということで販売するんですけど、最初のギターは木材もベニヤを含んだあまりよろしくないものでした。
ギブソン的にもそんなに力を入れてなかったんですけど、開けてビックリ、それがむちゃくちゃ売れたんです。フライングパンでエレキギターの熱がジワジワと上がってたんですね。
予想外に売れたもんだから「あ、ちゃんと作んなきゃ」ということで、ここからギブソンのブランドがシャッキーンと出来上がるわけなんですね。
そこでできたのがES150というギター。
「ES」というのはエレクトリックスパニッシュの略です。
フライングパンはハワイアンな感じで横にして弾くんですけど、スパニッシュギターは立てて抱えて弾くタイプ。時代の流れを読み取ることができますよね。
このES150と出会ったことで才能を大爆発されたのが、チャーリー・クリスチャンです。
Tボーンウォーカーたちとギターストリートファイトで鍛えまくっていたところに、ES150が登場したもんだから鬼に金棒。
化学反応を起こした結果、地味〜に伴奏するだけ、、、というギターの境遇を「管楽器より目立つバンドの主役」にまで押し上げます。
チャーリークリスチャンの演奏は、現代でも余裕で通用するくらいの腕前でビビってしまいます。当時でこれば本当にすごいレベルですよね。