札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
先日、修理のご依頼でやや遠方に行く機会があったのですが、と言うか引き取り行きます!と半ば強引に行かせていただいたのですが、途中に坂本龍馬の家?、みたいな看板があったんですよね。あれはなんだったんだろうか…。
『時代劇の侍が G-SHOCK してたら変でしょ?』というような内容の記事をどっかで書いた記憶があります。
コレはその昔、私が楽器店時代にしてた例え話で。
今回はざっくり『当時ないモノがそこにあると違和感がある、がその後』という話。
そんなイメージ、誰もが持っていると思います。理想のギター、またはベースの音、ってことですね。
エフェクターボードの製作前にはどんなギタリストが好きでどんな音が好きか、ということをあらかじめ教えてくれる方もいらっしゃいます。
主に組み込むエフェクターが決まっていない時はこちらから根掘り葉掘りお聞きすることもあります。
で、だいたいの方が70年代、80年代のギタリスト、バンドの名前が出てくるわけですね。そうなった時、まず当時なかったモノを使うと理想と遠くなることはあっても近づくことはない、と考えております。
これがうちではソルダーレスケーブルを使わないひとつの理由です。どう考えてもハンダは重要な要因なわけで。
他で例えるなら 1969 年の映画、イージーライダーで使われているバイクがもしツインカムだったら違和感 SF になっちゃうし、アレを観る時のバーボンはジムビームじゃなきゃいけません。私の場合。
で、現在活躍中の方のボードでソルダーレスが使用されていてそこに近づけたい、という理由でしたらアリだと思います。
なんにしてもディティールはマジ大事、ということです。
それでも私は末永くご愛用いただけるボードを作りたいため、他にも諸々理由があるため、今後もソルダーレスの製作はいたしません。
で、ここまでのお話、当時ないモノは使っちゃいかんのか!というとそういうわけではありません。
厳密に言うとギターもアンプもケーブルも何もかも当時のモノで再現、それは現実的にはほとんどムリな話であくまでエフェクターボードの重要なポイントに限ったお話になります。
たとえばワイヤレスです。年代によってはあったモノにはなりますが。
昔ほど高額でなくとも、音質がいいのが出てきていますよね。ケーブルから解放されステージでのパフォーマンスの自由度が広がるのはもちろん、逆に狭いスタジオ練習の時こそワイヤレスを使って足元のこんがらがりを防ぐ、と教えてくれた方もいらっしゃいました。
プレイヤー兼 PA のバーのマスターはリハ中に卓まで歩いて外音聴いて調整するのでワイヤレスは必需品、という声もありました。
あると便利を超えて、なきゃ困るという方もいらっしゃる、それがワイヤレスかと。
エフェクターボードでは長らく switchcraft のプラグを使用して製作しており、ここは激しく重要ですので今後も変えるつもりはないのですが、ワイヤレスには違うプラグを使ってもいいんじゃないか、高音質、高品質、精度の高いプラグで当時はなかったとしてもここの部分は最大限活かし切ってみるのもいいんじゃないか、と考えたわけです。
で、今回そのプラグに抜擢したのがこちらです。
・FURUTECH / FP-703 Gold mono
袋に適当に入ってきてたまにネジが多かったりフタが 2 枚入ってたりする愛すべき某メーカーとは大幅に異なる、高級感溢れるパッケージ。そして重い。この重量は信頼の証ですね。
ゴ、ゴツい。
シールド径の都合だったり、スリーブをかけて製作する場合は付属のバネは通せません。
ギターとトランスミッターをつなぐケーブルはコレを使って作ったらそれはそれはいいんじゃないかと。短い部分とはいえ最初は肝心ですからね。
で、こうなります。今回使用したシールドはスリーブで見えませんが BELDEN / 9778 です。
見た目も大幅に変わりますからここはお好み分かれるところになりますが。
で、実機でチェック時に張り切って自由になった気になっていましたが、iPhone アプリで試す準備段階で、ヘッドフォン有線じゃん、と気づく…。
気を取り直したその後、とりあえず単体アンプで試しましたがまず音が速い。出音が気持ちよく音が速い、これは激しく好みの傾向です。
BOSS / WL-60 の CABLE TONE はショートが好みでした。OFF だと薄味、LONG だとややモヤけ気味、SHORT がちょうどいい感じかと。
でもここはボードに入れた時は変わるかもしれません。
★ おまけの引きの図 ★
ヴィンテージレプリカストラップ、当時はロックピンなんてまだなかったのでルックス的、組み合わせ的に NG なわけですが、安心感が全然違うので私は使います。
言ってることとやってることが違うじゃねーか、と言われちゃいそうですが、機材を永く安全に使える点は優先します。
あらかじめ予想できるトラブルの可能性は避けたい、エフェクターボードの製作も楽器もそこは最優先ということです。
■HNEBD 地獄通信 -お知らせ-
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら