札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
なんとなく半信半疑で避けていたのですが、全体の荷物を軽くしたいので冬の間に買っていたチタンペグを先日試してみました。充分な固定でもっと早く買えばよかった。テント泊の安心感はペグが8割と思ってます。
さて、今回もよくいただくお問い合わせの返答をひとつ。
Q : ハンダのコツがあれば教えてください。
A : 温度と固定です。
その辺りをちょっと書いてみたいと思います。
はじめに、聞かれたことには全て答える、というのが私のところなのですが、ハンダのやり方についての説明はなかなか難しいんですよね。
こてはスッと当ててハンダがトローっと流れたらスッと離す、こてを離す前にはサッとハンダするモノを掴んでハンダされるモノと密着させておく、と擬音多め、感覚的にしか言えません。
私は鉄のフライパンの扱いに似ていると思っているのですが、フライパンってしっかり温めてからでないと油入れてもジワーってその場に居座るんですよね。
油入れた瞬間からスルーっと踊るように流れてくれる温度にフライパン側がなっていないと料理も上手くいってる気がしないんです。私の場合。くっついちゃいますし、温度の見極めが今回はダメだったな、と。
で、気温が低い日だとあっため具合の時間やタイミングも変わり、あっため過ぎるとフライパンの色が変わったり、煙が出過ぎたり、そんな時は成功時と比較すると美味しいとは言えず…。
出来上がりはスルッスルにフライパンの中で動いてくれる目玉焼きだとフライパンには汚れひとつない、がベスト。
ハンダの一連の流れと真面目に一緒だと思うんですよね。
こればっかりは色んな状況で数をこなすしかないモノだと思っています。なので違うコツについて書いていきますね。
上記作業を行う大前提として、ハンダをするモノは安定した状態で固定されていることが超重要です。
溶けたハンダは重力のアレで下に流れますので、流れた状態で良いカタチになる向きや角度にしておくのも超重要です。
しっかり固定できていたか否か、が良いハンダ、悪いハンダの分かれ道かと思います。
それともう一点、配線材やシールド、パッチケーブル、形状が線のモノはケーブル自体が自然に流れる向きでハンダする、というのもひとつです。
エフェクターボードなどで本来はクランクですんなり接続ができる、というところをパッチケーブルが L-L で無理矢理片っぽを振り向かせて接続する、これはケーブル自体にストレスがかかるのでいけません。
長い目で見ると断線の可能性も秘めており、なかなか危険な状態です。ヒトで言うと常に後ろ向いてまっすぐ前に歩くみたいな感じかと。ぶつかりますよね、いつか。
しかもそのケーブルが太く硬かったりすると接続先のジャック、つまりエフェクター側にも負担がかかるのでいいことがありません。足で踏む ON / OFF の通常動作がもはや破滅へのカウントダウンです。
他にはギターのポットにハンダする時も配線材はハンダする先の流れに沿った状態にしてからハンダしてあげないと配線材にストレスがかかってしまいます。
ハンダされているから、音は出るからなんでも良い、ということはなく、反発する力がそこにあるとずっと負荷がかかっている状態にある、反抗期のヒトを一時的に抑えつけても納得していないのならいつか爆発する時が来る、そんな危険な状態なのでお互い納得のいくかたちで収めるのが良いハンダ、良い教育な気がします。
エフェクターボードのパッチケーブル製作時はボードを上から見た時にロゴが見えるように私は作りますが、これもロゴが見える位置に合わせてから芯線をハンダしています。
向きを合わせずに芯線をハンダ、ネジって後からロゴが見えるようにするっていうのは絶対にダメです。元に戻りたい力はシールドにとっての負荷になるので不可です。
ハンダごてをハンダするモノにあてている時間は 3~4 秒以内が理想と思いますが、周りの気温も大切です。
寒いからとこてをあてる時間を伸ばすとパーツが壊れますので、周りの気温を上げてハンダ作業に適した環境で作業する、というのが重要です。
ハンダが溶け出すタイミング、溶ける様子が気温によって違うので、その感じを覚えておくといいと思います。それはハンダでも違う、というのもまたおもしろいんですよね。
余談ですが、寒い時期のキャンプだとカップラーメンは寒い場所で 3 分待っても全然カップラーメンにならないんですよね。ゴテカタのキツい食料になります。
環境、周りの気温はいろいろ何かと重要です。
ということでハンダ作業をスムーズに行うには、温度の見極めとハンダするモノの安定した固定が激しく重要、超コツ、というお話でした。
けっこう前になりますが、Wood Boy XLR も作ってみました。
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
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『全都道府県に製作実績を』を今後の目標にしておりますので、日本全国よりご相談、製作のご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。