札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
毎年かかさず行っている富良野のキャンプ場、実は桜がすごいと初めて知りました。夜の気温の低さもすごかったですが、安定の人の少なさでやはり良かった。
さて、今回はちょっといつもと違った感じの製作現場のご紹介です。
『どんなモノを使っているんですか?』、『何が必要なんですか?』といったお問い合わせをちらほらいただいておりましたので、長年使ってきた便利なモノ、ないと困るモノなんかも合わせて書いていけたら、と思っております。
それでは行ってみましょう。
作業部屋には製作に使うテーブルとパソコン作業のテーブルがあります。こちらはパソコン作業の方です。
お問い合わせ、打ち合わせ、レイアウト描き、画像加工、デザイン関係、このメールマガジンもだいたいここで行っております。
ボードのレイアウトは Illustrator で寸法を入れて描いてストックしています。市販のボードサイズや過去にあったエフェクター、定番どころはデータが揃っていますのでそれをコピーして並べて、大元のボードのサイズ出し、レイアウトを行います。
ストックにないデータは隣りの iPad で調べて寸法見て描く、PC と iPad 間はマウスが自動で行き来してくれるので大変便利になりました。
打ち合わせ時、レイアウトの出来上がりに時間差があるのはデータのないエフェクターを調べて描いている、ということです。
マウスパッドは楽器用のストラップでおなじみの LHL、Long Hollow Leather のモノです。コレは10年以上使っていますが買った頃とほぼ同じ状態、頻繁に持ち運びもしてきましたが変形もほころびもせず、耐久性が容赦ないです。
受注後、最初に行うのはお預かりした機材のクリーニングですが、その次がマジックテープ加工です。エフェクターのサイズに合わせて切る作業にマストなのがこちらです。
カッターは OLFA / Limited AL というのを複数本。
複数本あるのは限定色を見るとつい買っていた、ということは微塵もなくマジックテープカット用、硬質スポンジカット用、シールド被膜カット用と刃の状態で分けているためです。
気づけばなんか増えていた色違いで分けられる状態にあったんですね。
刃が新品状態でなければ硬質スポンジはまず綺麗にカットできません。しかも刃が長い状態であることが必要です。硬質スポンジは数回のカットで求める鋭利さが落ちるため、すぐにマジックテープ用になります。
マジックテープ用も刃の鋭利さは必要ですが、長さは必要ないためポキポキ折って最後まで切れ味良いまま使用可能です。
シールド被膜カット用はうっすら銅線に触れるのは他で何かに触れていない刃が好ましい、という理由で分けています。
カッターの刃は OLFA / LBB50K という替え刃50枚入りのモノを使用。切れ味抜群で怖いくらい切れます。
遠い昔、店頭ポップで『プロ用』と書かれており、カッターのプロって何!?ってなったものですが、過去に一度、指をいってしまった時はその切れ味に「たしかにこれはプロ用だ…」と思ったものです。すごく鋭利なのですぐにぴったり治りましたが、使用時には激しい注意が必要です。
カットする時にあてる定規は無印良品の PET カッティング定規です。メモリの反対側が金属で補強されているので長年コレを使用しています。
カッターマットは OLFA / カッターマット A3 ハーフというサイズです。エフェクター本体側に貼る分はこのサイズで向きを変えたりするとほぼ対応可、です。
狭いスペースでも使いやすい、絶妙なサイズ感でこちらも10年以上使っています。
マジックテープ加工は細かいゴミが大量に出るので掃除する時もカッターマットは大き過ぎない方が何かと便利です。
大きなボード面にマジックテープ(メス)全面張りの時は同じく OLFA の A1 サイズのカッターマットを使用しています。マジックテープはしっかり固定して切らないと逃げてしまい、長い直線は切れないため、貼る面と同等サイズが必要です。
この時は金属の長い定規を使用しています。(画像ナシ)
実際の作業中の現場はこんな感じになります。
細かい余りも保管しており、そのままのサイズでいつかのエフェクターでピッタリになったりしますし、現物に合わせるためには何回も何回も何回もカットするわけですね。
貼り終わりがこちらです。
裏からマジックテープは見えない、ペダルトレイン仕様の貼り方です。
上に見えるプラグは仕入後に検品、その後は製作に使う直前まで密封して保管しています。極力、空気や手には触れない方がいいという考えからで、製作前に一度、パッチ完成後、接続直前にもう一度、プラグ部分はアルコールで拭いています。
パッチケーブル製作は小さめの板の上での作業になります。
たまに販売もしている HNEBD / WoodBoy でパッチケーブルの被膜カット、シールド線をまとめてから HOZAN / P-968 で芯線の被膜をカット、goot / ST-80 に軽く挟めて即ハンダ、ここの作業はスピード勝負で剥かれた線材をいかに速くハンダするか、この鮮度が音質、対ノイズ面のキモなんじゃないかなーと思っております。
魚とか肉とかも多分そうですよね。刃の鋭利さ、捌いてからの鮮度で味が変わる、魚あんまり食べれないけど。
フラット L のプラグはボードで使用している細いシールドでは隙間ができるため端子スペースにホコリや細かいゴミが侵入せず、ちょうどネジをしめると潰れて引っ張りに歯向かう力もつけられるスペーサーを入れています。ピンクのヤツです。
パッチケーブルは蓋を閉じるまでがスピード勝負(だと思っている)ですので、裏蓋にネジ2本、スペーサーはあらかじめ並べておきます。
このスペーサーをここに置く作業がたこ焼きにタコ入れている感じがする、と個人的に毎回思っております。
フラット L プラグのネジは PB のスタビードライバーでしめます。コレも10年以上使用していますがまったく変わりません。超タフ。
フラット L プラグのネジが入荷時期によってアバウトで使えないこともあるのでスタビーは何種類か隠し持っています。
ストレートや L プラグのツメでかしめるタイプの再利用時、ツメ起こしにも使用しています。楽ですよ。
今回、過去の写真を集めた内容になりますのでこの時は冬ですね。
ハンダするには周りの空気が冷えているとモロいハンダになるため、寒い季節は作業台の上でストーブをつけています。ふもとでプラグ類、ハンダされる側の方々もあっためておく必要があります。
ハンダごては2本、コテ先の形状を変えたモノを使用しています。
修理関係は HAKKO / FX-600 一本です。
フラット L プラグの時は HAKKO / FX-600 がシールド線用、HAKKO / FX-8801 は TIP 用です。エフェクターボード製作はほぼフラット L プラグですのでだいたいこんな感じです。
コテ先の寿命が伸びる気がしますし、作業スピード向上と仕上がりの綺麗さのため、使い分けています。
元々は万力を持っていなかった時にノコギリ台に使えそう、と買ってみた塩ビ管。
しばらくノコギリ台として活躍してくれましたが、現在は塗装後に乾かす台として何かと重宝しています。必要に応じてあったら便利なモノ、製作界のアルトベンリですね。
主が自ら探訪するという謎のタイトルでアレですがマンションの一室でこんな感じでお仕事させていただいております。
モノには念が宿る、と思っておりますのでどんな道具も大切に丁寧に、永く使える良いモノを選ぶといいんじゃないか、と思います。楽器関係に限らず。
まだ他にも色々とありますが、私がボードを製作させていただく際に常時使っているモノ、必要なのはこれらの道具、工具です。
そういうモノや道具や工具で末永くご愛用いただけるボードを製作させていただく、というのがうちの信念ですね。
一人でキャンプして桜見てピースとかしてますけど。
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら
『全都道府県に製作実績を』を今後の目標にしておりますので、日本全国よりご相談、製作のご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。