ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。
比較的多く、かつ定期的にいただくものすごーいストレートなお問い合わせに、2020年初回の記事で答えてみたいと思います。
Q:一番好きなエフェクターはなんですか?
A :strymon の FLINT です。
その理由をあらためて考えると、色々なお問い合わせの答えに共通する点もありましたので、お話していきたいと思います。
1960年代、ヴィンテージアンプに初めて搭載された初期のエフェクターの1つに、トレモロとリバーブがあります。
当時のサーフ系やブルース、カントリーなど、ジャンルにとらわれることなく、様々なシーンでナチュラルに、時に大胆に使用されてきました。
この strymon / FLINT は、ただトレモロとリバーブがセットになったペダルではありません。
当時のヴィンテージアンプに搭載されていたトレモロとリバーブを忠実に再現する、というコンセプトの元、当時の回路、音の特性、相互作用、細部にわたってのこだわりが詰まりに詰まっています。
オールディーズや昔ながらのロックンロールなど、1980年代前後までの音楽が好きな方には一発でハマる魅力ある音、そんなペダルだと思っています。
昔ながらのアナログなサウンドを最先端のデジタル技術で忠実に再現する、というのがstrymon 社の印象ですが、本機にはそれぞれ3種類ずつ搭載されています。
●トレモロ・セクション
・’61 harm / ハーモニック・トレモロ
・’63 tube / パワーチューブ・トレモロ
・’65 photo / フォトセル・トレモロ
●リバーブ・セクション
・’60s / スプリング・リバーブ
・’70s / エレクトリック・プレート・リバーブ
・’80s / ホール・リバーブ
トレモロ、リバーブはそれぞれ独立しています。トレモロ単体、リバーブ単体、トレモロ&リバーブと使用可能です。
エフェクターという括りでは同じトレモロとリバーブも、年代によってそれぞれ特徴的なトーンを持っています。
その年代の特徴を再現したり年代をバラして組み合わせてたり、というのはデジタルならではの強みですよね。
スムージーやタピオカが流行ったり、ティラミスとかベルギーワッフルとか、飲み物でもスイーツでも後に定番となる前の「時代の流行モノ」ってありますよね。
そんな時代の良いとこ取りなトレモロとリバーブが3つずつ入っている、そんな感じですかね。
単体で使う分にはさほど問題にはなりませんが、ボードを組む時はエフェクターのサイズはとても重要です。
strymon のこのサイズって、小さくはないけど大きくもない、そんな絶妙なサイズなんです。タテヨコどちらかが長いわけではなく正方形に近いからだと思うのですが、タイトなボード内に収める時でもあまり苦戦しないんですよね。
ワウを始めとするタテ長のエフェクターがある場合は、まずはそれに合わせたボードサイズにしなくてはなりません。タテが長いボードは必然的に大きめになっていきます。
・strymon はタテが117mm、ヨコが102mm
・BOSS はタテが129mm、ヨコが73mm
ちょっと大きく見えるんですが、実際はBOSSコンよりタテが短いんです。
このわずかな差でもボードを組む時にネックになる時があるので、タテが短いと本当に助かります。ボードの大小問わず、タテが短いと収めやすい傾向にあります。
本当に小さいボードの時は、一台で2つのエフェクターが使えるって重宝するんですよ。
機材のチョイス全般なのですが、欲しいけど機能的にここまでいらないんだけどなー、というご相談もよく受けます。
トレモロとリバーブが入っているからと言って無理に両方使う必要はありません。気に入ったところだけ使ったり、使いたくなったら使う、でOK だと思います。
strymon には実は隠しコマンドがあって、この FLINT も例外ではありません。
あえて記載しませんが、「何かを押しながら何かを回す」ことによって、
・トレモロのブースト/カット
・リバーブのブースト/カット
・トレモロとリバーブの接続順の変更
が可能です。
他にも「何かの位置を変えてから何かを押して電源をさす」という隠しコマンドも存在します。
そのような機能も「必要になったら使う」という軽い感じでいいと思うんです。使わなくても減りはしませんし。そもそも機能的にできない、というよりいいですよね?
機能的に極めてシンプルなモノもいいのですが、必要になった時にはさらにできることが広がる、という可能性を秘めたモノっておもしろいですよね。