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パワーサプライのキメ方

札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。

今回はパワーサプライのお話しです。

高音質で軽量化、このワードが出ると私の場合strymon 一択になるわけですが、軽量化よりも音質部分を優先したい、またはACアダプターのみの電源供給のがある、きっかり狙った意図がある、そんな時は VOODOO LAB のパワーサプライをおすすめしています。

重厚な黒いサプライ、VOODOO LAB / PEDAL POWER 2 PLUS

DC出力端子は8個、AC1個、合計9台までのエフェクターに電源供給が可能。海外のボードを夜な夜な見ているとだいたいコレが入っていますね。

昔から信頼性の高いパワーサプライで、昨今の中では0.9kgと多少の重さはありますが、その分しっかりした、と言うか重厚感のある音、比較すると違いが出るなー、という感じがしっかりあります。とくに歪み系はわかりやすい、現代の最高峰のひとつです。

さらに他と違って激しくナイスだな、というところはコンセント口が裏にひっそりとあるところです。

最大200Wまで対応。(アンプはつなげちゃダメ、絶対)

そして本体裏側にあるDIPスイッチで NORMAL / ON の供給タイプ、2パターン切り替えが可能です。

DIPスイッチは本体の裏面にあるため、ボード固定後の切り替えは全部外さないとダメなのでちょっと大変ですが、間違ってぶつかってて切り替わってた、ということは起こらないので安全ではあります。

コレは何を切り替えるかと言うと↓こんな感じです。

DIP ON 時の端子ごとの違い、狙いをきっちり定めておりますね。

■ 1, 2, 3, 4 = さほど消費しない歪み系はここの端子が良いです。
・9V : 100mA (DIP : NORMAL)
・12V : 60mA (DIP : ON)

■ 5 & 6 = 電圧を変えても電流はそのまま、デジタル系はココです。
・9V : 250mA (DIP : NORMAL)
・12V : 250mA (DIP : ON)

■ 7 & 8 = ON時は電圧調整つまみで音色変化を狙える端子、ファズ系はココ。
・9V : 100mA (DIP : NORMAL)
・4V ~ 9V : 100mA (DIP : ON)

センターマイナス、センタープラス、極性の違い

ほとんどのコンパクトエフェクターはセンターマイナス、という極性になっているため、パワーサプライもセンターマイナス供給がスタンダードです。

こんなマークがエフェクターのどっかにプリントされているはずです。(ないのもある)

ファズ系のエフェクターはDC供給ができても極性がセンタープラスのモノがあります。その場合はセンタープラス用の電源極性反転ケーブルを用意して接続する必要があります。

様々な組み合わせで使用できるように色々なオプションDCケーブルが各社用意されています。

ただし完全独立型(アイソレート)ではないパワーサプライの場合、極性を替えるDCケーブルを使用してもセンタープラスとセンターマイナス、同時供給はできません。

実際例として、非アイソレートのサプライではセンターマイナスのエフェクターのみがONになっている状態では使用可能ですが、DCケーブルで極性を変えた本来センタープラスのエフェクターをONにした途端、バツ!っと電源が落ちてしまいます。危

険というかそもそも同時に使えないという状態、ということです。

出力が完全独立型(アイソレート)、一部独立、共通とパワーサプライではそんな違いもあります。

アナログエフェクター、デジタルエフェクター混合ボードのノイズ対策としてもパワーサプライは完全独立型が主流になっていっています。

それだけボードのエフェクターの組み合わせが多岐にわたり、ボード好き人口、電源にこだわる方も激しく増えた、とも言えるかと思います。

 V数を倍にする「ダブラーケーブル」

続いて VOODOO LAB オプションDCケーブル「PPY」のお話です。

パワーサプライのDC端子を2つ使用して1つのエフェクターへ電源供給する、Y字のダブラーケーブルの使用で 18V、または24V(DIP ON時) の供給も可能です。

注意点としてはダブラーケーブルは2口とも繋がっていないと電源供給されません。かたっぽ抜いたから9Vになる、とはならず、かたっぽ抜くと電源供給はされません。

ここがスイッチで電圧を切り替えられるパワーサプライとの違いですね。

9Vに戻すには通常のDCケーブルに替える必要があります。

9V以上対応の場合、現在では12Vや24Vよりも18Vが主流となっている感がありますので、この点は正直ちょっと惜しいんですよね。

18Vのを2つ入れるとDCの残は4、AC1と足りれば問題はないのですが、AC使用含め、7台が最大個数になります。

もしくは18V供給のが一台ならACアダプターにする、そうするとスペース的に抜き差しが必要になったりして、電源はサプライの電源コード一本挿して終わりーとしたいんですよ、ってな場合はちょっと躊躇してしまう部分ではあるんですよね。

なので使う状況も電圧も狙いを絞りきった場合にだけおすすめするというパワーサプライ。私の中ではそんな選択肢になっています。

「切り替え可能出力」の強み

以前にも書いている内容になりますが、歪みが18V供給だと音が前に出過ぎちゃう、とかボーカルより目立ってしまう、なんてこともバンドを複数やっている方にはご経験があったりするんじゃないかなーと思います。

そんなことが予想される場合はやはり瞬時に切り替えできる方が便利かなー、と思います。

人が変わった、バンドが変わった、ハコが変わった、その都度その都度すぐ試せますしね。

strymon の場合。

Ojai R30には2つ、Zuma R300には1つ、すぐ届く位置に9V、12V、18V、切り替えのDC端子があります。

DC 端子が数的に足りない場合は、9Vオンリーのもここにつながなきゃいけません。

間違ってひっかかって意図せずに切り替わっちゃう、というトラブルを避けるため、少し硬めの奥まったスイッチレバーになっています。

仮に9Vに18V供給すると最悪の場合、故障することもあるので取り扱いは慎重にです。

strymon / Ohai R30

strymon / Zuma R300

VITAL AUDIO の場合。

近年人気の高いこちらのパワーサプライも同様ですね。

すぐいじれる位置にあるのにあまりいじってほしくないような感じでスイッチは奥まっています。

誰でもかれでもすぐには簡単にいじらせないぞ、という強い意思が伝わってくる正しい姿ですね。

VITAL AUDIO / VA-08 Mk-II

と、こんな感じの回でした。

頻繁に毎年新しいモデルが出る類のモノでもないですし、ひとつあると取っ替え引っ替え買い替えるモノでもないのがパワーサプライかな、とも思います。

費用対効果はとても高い部分ですので、パワーサプライは最初からヤベー、こんな高いのイっちゃったーと不安になるくらいのを選ぶと長ーく使えますし、長い目で見るとステップアップの買い替えでお金ロスしていくよりも結果それが一番お財布にやさしいと思うんですよね。

一番重要なのはエフェクターが本領発揮できるのは良質な電気あってのもの、ってのもアリ。

根尾悠のヘルニアエフェクトボードデザイン

 

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