札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
最近気になる内容の動画を見ました。たまにいただくお問い合わせ内容だったりもしましたので今回はそのお話を。
(こちらはオリジナルのGOLDEN VALVEです。コピー商品ではありません)
そのお問い合わせというのが、いわゆるコピー商品についてです。実際はどうなんですか?ってな感じで聞かれることが今もたまにあります。
コピー商品と言ってもいろいろありますよね。現在はヴィンテージでしか手に入らないモノをこだわりにこだわりまくって入手困難なヴィンテージパーツを探して手に入れて現代に再現する、っていうのは個人的にはアリだと思います。
情熱のかけ方がいい意味で異常、当時の機材を使って当時の個体を複数集めて比較に比較して近づける、再現していく工程。これはまた次元の違う世界のお話ですので僕はアリだと思っています。
ナシなのは、現行品の人気エフェクターの回路図からコピーして製作、販売されているものです。まったく同じ音です、みたいなことを普通に書けちゃうタイプの。
結論から言うと、ごくわずかに似てる部分が仮にあったとしてもまったく同じになることなんて絶対にない、です。ありえません。オリジナルの製作者、開発に関わった方々に超失礼。
で、安いから洒落で買ってみたんで試してみてください、って持ってきてくれる方も楽器店時代にいらっしゃいました。いわゆる今でも現行品の人気エフェクターのコピー品です。
オリジナルは私自身も実際に使っていたのが何個かありましたし、本物も当時店頭に現物がありましたので試しにスタジオで比較してみたことがあります。
はぁ…、で終わりです。
その中でわかりやすいところで言うと VEMURAM の Jan Ray コピーがありました。
本物はブラスの板を曲げて磨いて、あたかもケースのような筐体に見えますが最初は板です。そんなこだわりは音やノイズに大いに影響しています。
わかりやすいところがそもそも違うのに一般的なケースに入れて同じ回路図と数値合わせたパーツで真似たところで「?」っていう印象にしかなりません。音の感触が全然違いました。
作ってみるのはいいと思います。でもそれを本物の名前匂わせて販売しちゃダメだろうと思うんです。
コピー品にお金出すくらいならそれと同価格帯で気に入るのを探して選んで買った方がよっぽどいいと思います。それは本物です。
これが Jan Ray の音かーって思われてしまう危険性、オリジナルを知らない方に誤解のままホンモノの音と判断されてしまう危うい可能性を含んでいるのはとても悲しいことだと思います。
説明のためとは言え、本物にわざわざ「本物」ってここで書かなきゃいけないのも嫌なくらい。
その昔、某有名アクセサリーの社長のインタビューで
「私のアクセサリーが日本で買えるのは正規代理店の2社からだけだ、他で売っているのはたとえ本物でも偽物とみなす」と。
当時、岩手県に正規店があったんですよね。話それましたが。
コピー商品に対する怒りはどの業界でもあると思います。
怒りの理由は大変な時間と労力をかけてつくりあげたこだわりとプライドがあってのもの。この精神性、どんなジャンルのものも本物ってのは当たり前ですが本物にしか宿らないものです。
余談ですがキャンプ用品でもあるんですよね。本物は高くてなかなか売っていないモノで、それを真似たコピー商品がゴロゴロと。
個人的な話ですが私は本当に欲しい場合は貯めます。本物の満足感は本物にしかないので。
コピー品とりあえず買って結局本物欲しくなる、そんな死に金はもったいないです。
そこを思うと買えなくて貯めてって時期もある意味楽しめるんじゃないかな、と。
製作者への敬意はどんなものであっても忘れたくありません。