札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
エフェクターボードは本当に千差万別、求めることが人それぞれ違うもので同じモノでも異なるケースがあっておもしろいなぁーと思っておりますが、自分のできる限り、ご要望に応えられたら、と考えております。
さて、前回はエフェクターボードを採寸、カスタムオーダーし、上がってくるまでのお話を書きましたが今回はその内部、完成したエフェクターボードについて、いつもの最近の製作例になります。
東京都、T.M 様よりご依頼いただきました。本当にいつもありがとうございます!
こちらが完成したエフェクターボードです。
『軽量で気軽にいつでも持ち出せる、可能な限り小さいエフェクターボードを』
今回はそんなテーマがありました。
詰められる部分はとにかく詰める、詰めに詰めても操作性が悪いと意味がありませんので音質と操作性は重視しつつ軽量に仕上げる、振り返るとなかなかハードな製作でしたがご要望が多いほど、難易度が高いほどに萌える、あ、間違った。燃える性格なのでこれもまた年に数回訪れる新たな挑戦、という感じで取り組まさせていただきました。
上から見るとこんな感じになっております。
上段左からパワーサプライの strymon / Ojai が2つ、Xotic / RC-Booster、tc electronic / polytune 3 mini、Lagoon Sound / Custom Junction Box が並んでおります。
レイアウト図の Xotic / RC-Booster は最初のサイズ出しではDC 端子が筐体上部にある現行品の仕様で描いておりました。
打ち合わせの途中で『もうちょっと詰められませんか』というご要望と『以前の RC-Booster もあります』ということで、これがなんとDC ジャックの位置が筐体の左側なんですよね。
DC ケーブルのプラグが上に飛び出す分をカットできるのでまず約 1.5cm、縦幅をカットできました。
RC-Booster は常時 ON とのことでしたのでベタ置きで問題なし、ジャンクションボックスもべタ置きで問題のない形状です。
さらにはギターとアンプの入出力は筐体上部ですので、本来右に飛び出すジャックナット分のスペースも必要ないため、有効内寸ギリギリの端まで寄せることができます。約 0.5cm 減。
その間の tc electronic / polytune 3 mini をやや高めにかさ上げしてそれぞれの接続プラグと隣の筐体には触れないように上下でかわしています。
横並びにはプラグ 2 個分必要なスペースを 1 個分にして 2 カ所を詰める、結果、Polytune 3 mini も操作しやすい、そんな配置です。
プラグで 6.4cm 必要なところを 3.2 cm でクリア。
もはや立体パズルの横幅、約 3.2cm 減。
RC-Booster アウトのプラグはパワーサプライのかさ上げ台の下に隠して横幅を約 1.6cm 減。
ここの高さ調節とDCプラグ分の切り欠きをカットしてヤスって合わせてヤスって合わせてを繰り返した思い出ポイントです。
レイアウト図を描いている時に詰められなくはない場所はココだな、と思ってはみても実際に合わせていくにはそこそこ時間がかかるもので。
オーダーボード入荷までの 5 週間という期間があって助かりました。
単純に横並びにすると幅 40cm は必要だったところ、34.6cm まで、この組み合わせでこれ以上詰めるのは無理、というところまでイケました。
手前側は左から Xotic / Super Clean、FRIEDMAN / Dirty Shirley、VEMURAM / Jan Ray、Ibanez / TS808(CULT) です。
エフェクターが大きめ(TS808)、やや小さめ(Jan Ray)で隣り合うことが功を奏してTS808 と Jan Ray は密着型で配置固定。プラグ一個分のスペースです。
手前はかさ上げしていません。かさ上げせずとも寄せることが可能なケースです。
このサイズ感では寄せ切っても操作性は問題なしと判断。
Jan Ray、FRIEDMAN 間はパッチケーブルを少しだけ長めに作り完全に下に這わせることで FRIEDMAN 筐体横のミニトグルも操作可能です。
ON/OFF 操作の多めな Xotic / Super Clean は少し離して配置、やや上にあるのはフットスイッチカバーをつけてもフタが閉まるように、という位置です。
FRIEDMAN もよーく見ると Jan Ray よりもほんの少しだけ上に配置しております。
筐体の背が高いのでこの位置じゃないとエフェクターボードの開け閉め時に当たってしまう、というのが理由です。ミリ単位で当たる、当たらないが変わります。
横からの眺めです。
同じく背の高めな TS808 は傾斜になっているのでフタに当たらないように頭を低くしてるのか、ってな感じに見えなくもない気がしてきます。
エフェクターボードを組む時は必ず、本固定前に蓋の開け閉めの確認もしておかないといざ出来た!って時に蓋が閉まらない、当たるってなことが起きますので激しく重要な事前チェックポイントなんですよ。
背面からの図です。
パワーサプライのかさ上げ台は今回の寸法で使用できる最大の厚さのMDF 材で製作しています。
strymon のパワーサプライ同士をリンクさせるEIAJ ケーブルのまとめ部分は見えてはいけない部分ですので、ギリギリ見えないところまで MDF 材をカット、下の電源ケーブルを接続する strymon / PS-124 と EIAJ ケーブル 3 本分の余りが見えないように、のぞいて見ても恥ずかしくないカタチでこの下に隠れています。
tc electronic / polytune 3 mini のかさ上げ台は軽量なヒノキ材を使用しました。
ボードサインを設置するスペースはありませんでしたので今回は別添えでこの位置に HNEBD ピックを。
strymon / PS-124 は手で掴んで電源ケーブルが抜き差しできるように丸いカーブでカット&ヤスリーです。カーブ具合はレゴのパーツをイメージしてみました。
レゴで木とかお城のカーブを再現するこういう形状のがあるんですよ。(伝わらないポイント)
…伝えなくてもいいポイントだったかもしれません。
tc electronic / polytune 3 mini はけっこう高い位置ですが、ヒノキとボードは直固定でブレにくいようにしています。
パワーサプライ、電源供給端子の位置は実測値とエフェクターの実音、相性で決めていますのでこんな位置になっています。
電圧の実測値はあまり公表しない方がいいのかもと思い、オーナー様にはお伝えしておりますが、ここでは控えます。
製作は経験値となりますので常に最新の製作が最高傑作であり続けたい、最先端から加速する私でありたいと思います。
と、こんな感じで製作させていただいております。
T.M 様よりご感想をいただけましたので、合わせて掲載させていただきます。
『只々、完璧な仕上がりです、の一言に尽きます。自身で幾度となく組み込みを行ってきましたが、ここまでのクオリティに仕上げることは難しいかと思いました。まず音質面では驚くほどノイズフリー。配置も嵩上げ等含め無駄のない仕上がり、本当に綺麗に纏まりました。細かな打ち合わせや、要件の定義もきっちりと詰めていただけて安心感を持って依頼することが出来ました。末長く愛用させていただこうと思っています。』
T.M 様、本当にありがとうございました!
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら
『全都道府県に製作実績を』を今後の目標にしておりますので、日本全国よりご相談、製作のご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。