
札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。

早いもので 2025 年、最後のメールマガジンになります。今年も一年間、読んでいただき本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
ということで去年の今頃はこういうモノをつくりたい、というイメージとみなさまからのアンケート結果をじっくりと読ませていただき、想像をふくらませておりました。
2025 年は通常の製作のご依頼以外のほとんどの時間をAREA 8 BOARD に注ぎ込んだ一年、という気もしておりますのでそんなお話を深めに。
1月に山脇オサムさんが来札。作業部屋での音出し、組み合わせのチェックとより良いマッチングを求めてエフェクター探しの楽器店巡りを。
最後のピースがすぐにコレ!とは決まらず、候補に考えていたエフェクターがどこも店頭展示がなく、今回は先送りかな、とも内心思っていました。
ですが、最後に行った中古楽器店で候補のエフェクターの元となったモデルを発見。
コレだわ、と見事ピッタリ。
それが偶然にも過去に製作のご依頼で何度もうちに来ていたエフェクターそのものでさらにびっくり。
当初の予定通り、コレを元にした現行品にしよう、と仮確定。
さっそく仕入れて試してやっぱりコレが良い、と確定。
奇跡の再会と現行品の図。

ラインナップが決まったところで採寸、板を切り出してのサンプル製作。
それを実際にバンドで使って試した後、山脇オサムさんへ送って再度チェックしていただき、お互いが納得するカタチになったところでアルモアへオーダー。
エフェクターボードのオーダー品が届いた時はすでに感無量、という気持ちにもなりましたが、かなりギリギリに攻めた寸法のため、マジに入るんだろうか…という緊張感の元、移設。
本当にギリギリながら高さの微調整を行ったところで収めて完成。
アルモアのケースに乗せた時の方がより音が締まる不思議。
サンプルボード時の図。

エフェクターボードのカラーは全面指定で色が違います。
外観すべての面の色を変えるとルービックキューブ感がでて今回はそのイメージではないので 3 色にしています。
ボードの表面はステッカーを貼りたい方も多いと思うのでステッカーのデザインを邪魔しないブラック、側面をオレンジで囲って底の面のみダークグレーにしています。ここはバイクをイメージしています。
設置面はちょっと癖のある色のパワーサプライと薄い緑のエフェクターとの色合いを中和してうまくまとめてくれるのでは、とグレー。
ややノスタルジックな機材を思わせる良い感じのグレーです。
ボードのオーダー時はこういうこともできます、というカスタム例にもなったと思います。

これまでさらっと書いておりましたが、AREA 8 BOARD はこういうボードを目指しました、というお話です。
・どんな方にも使いやすくシンプルにエレキギターの音が楽しめるボード
弾いていて楽しい、弾くのをやめるのが惜しくなるようなサウンド、それが初心者の方にもベテランの方にも伝わるモノを、という基準でエフェクターをセレクトしました。それでいて高額過ぎない、という点も考慮しています。
弾く機会が増えたら上達にもつながりますし、毎日少しでも弾くきっかけのひとつになってくれたら嬉しい、という思いがあります。
組み合わせによる全部 ON 時が一番良い音、ここは抑えたいという時は一部 OFF、使い勝手に困らない個数とそれぞれのキャラクターはギターのレシピで初めて書いたメールマガジン、消去法サウンドメイキングの本体版、と自分の中でイメージしておりました。
サウンドメイキングの次は ON の本体を MAX から削っていく、ここは出て、ここは抑えての曲の中でのダイナミクスがつくりやすいと思います。
その時の初々しい記事が【→こちら】です。
・エレキギターの醍醐味、上質な歪みとディレイを味わえる音色が手軽につくれる
エレキギターは歪みがキモですので、ジャーンよりもギャーンよりもグギャ!っとくるメイン、Xotic / Soul Driven がボードのコアになっています。
同じ Xotic の Ep-booster と RC-Booster V2 と組み合わせることで予想以上にグギャってくれる気持ちの良い歪みは同ブランドということもあり、ひじょうに相性が良いです。
Xotic をすべて ON で RC-Booster V2 のブーストスイッチをブースターとして使うフル活用をはじめ、Ep-booster と Soul Driven のみの濃密ながらカラっとしたオーバードライブ、RC-Booster V2 とSoul Driven のみの艶やかなトーン補正でのシルキードライブ、シンプルな組み合わせでも歪みの変化が楽しめるようになっています。
最終段の UNIVERSAL AUDIO / Del-Verb がボード内ではもっとも高額な製品なのですが、最後にすべてをまとめてくれる部分なので、ここのポジションはどんなボードでも激しく重要です。
空間系のクオリティは他エフェクターと比べ比較的価格と比例する傾向もあり、高額でも、多少重くデカくとも、ここはこれじゃなくてはいけない、という考えがありました。
コンパクトなボードでもバリエーションは欲しいため、一台に二種類、個々に ON/OFF できるディレイ&リバーブはこのボードにはこれがベスト、とセレクトしました。
Del-Verb はちょっと変、というかコンセプト通りのシンプルでスタンダードなディレイ、リバーブとしてもちろん使用可能なのですが、ひじょうに癖のある効果も狙えるモデルになっています。
リバーブに関してはピッチャンピッチャンのスプリングリバーブ、煌めくプレートリバーブ、リッチなホールリバーブ、3 つの中からモードを決めてつまみはひとつ、単純に上げていけば効果が極端になっていく、という感じですのでわかりやすいと思います。
ディレイもアナログ感強めのテープエコー、3 つのモードの中にそ、そ、それ?というエレハモのメモリーマン、美しい音色のプレシジョン、となかなか尖っていますがメインのセッティングはシンプルに DELEY TIME と FEEDBACK つまみで。
COLOR と MOD でよりディープに変化するのでつくりこむ楽しさもあります。
コーラス風、フランジャー風も再現可。とりあえず全部 12 時位置でも美しいです。
シンプルに使える、攻めたい時は対応してくれる、エフェクターの奥深い楽しさがあるモデルです。
・バンドでヌケてくる、即戦力として使える音
エフェクターを使用するうえで『バンドでヌケる音』、という点がとても重要だと考えているのですが、極端に歪むコンパクトエフェクターや安価なマルチエフェクターはどうしてもバンドで使用した時、音が引っ込みがちになります。
そうならず、出過ぎず、出なさ過ぎず、ちょうどいいところでヌケる音が結果的に弾いていて気持ちの良い音なんじゃないかと考えています。
この部分をより調整できるように、Xotic / Ep-booster と Soul Driven はパワーサプライ側で 9V、12V、18V と三段階で電圧の切換が可能です。
バンドによっては両方 18V だと出過ぎるな、という時は 12V に下げたり、ちょっと控えめにしたい時は 9V にしたりとエフェクターの ON/OFF 以外での変化もつけられるようになっています。
おすすめは Ep-booster : 12V (で 9 時)、Soul Driven : 18V (で GAIN 控えめ)です。
エフェクターセレクト時、一番良い音がするのはどこか、と探って弄って試してココ、という感じです。
Ep-booster は 18V で常時 ON、つまみゼロも好きですが、この組み合わせではそれとも違う良さがあります。
パワーサプライは音質、対ノイズ面でもエフェクターボードでもっとも重要なアイテムで、電圧切換のスイッチもその場ですぐに変えられる strymon / Ojai R30 はこれなくしては成立しないってほどのパワーサプライです。
・対ジャズコーラス用としても使いやすい音
『ジャズコ対策はこれいかに』、『Roland / JC-120 でも気持ち良い音を』というアンケート結果でも多かったご意見からその点も重要視しました。
これは動画を見ていただければ、と思います。
VEMURAM / Jan Ray などジャズコでも気持ち良い!となるエフェクターもありますが、この Xotic の組み合わせもばっちりハマります。
・軽量&コンパクト : 横 28cm x 縦 22.8cm x 高さ 8.8cm、約 4.9kg
エフェクターボード製作のご依頼時には必ずと言っていいほど『軽量で』『コンパクトな』というワードをいただきます。
アンケートの結果でもこの点はとても多かったです。
サイズと重量、持ち運びが苦になって使わなくなる、というのは製作させていただく側からするともっとも避けたい部分ですので、可能な限りコンパクトになるように設計しました。
これまで製作させていただいた AREA 8 BOARD でも毎回計量しておりますが、すべて 4.9kg、内容が一緒なので大きく変わりはせず、多少の誤差で 5kg になることもゼロではありませんが、現状わずかに 5kg 以下をキープしています。
9 月の試奏会の行きの飛行機は機内持ち込みの手荷物が 7kg まででAREA 8 BOARD とシールド 2 本、電源ケーブルに一泊分の着替えを入れたカバンひとつで 6.8kg、制限ギリだとわずかに 5kg 切るってのは大きいと思いました。
手軽に楽しくコンパクト、というイメージとコンセプト、そしてみなさまからのアンケート結果を元に練りに練って、これまでの製作で得た技術、方法、アイディアをフル動員したエフェクターボードになるよう製作いたしました。
『少数精鋭に絞ったエフェクターボードの完全パッケージ商品をつくる』を目標にした一年、そこから初の東京での試奏会開催と実際につくったモノをリアルに試していただく姿を見ることができた、いつもとは違う新鮮な年になりました。
ご参加いただいたみなさま、ご注文いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
僕らが出会ったきっかけをボードの名前とした『8区』、AREA 8 BOARD とともに再びその 8 区を回れて、続けてきて良かったなーとしみじみ思いました。
恐ろしいほど協力してくれた山脇オサムさん、激しく感謝しております。
本当にありがとうございました!
と、終われればよかったのですが、来年から値上がりする機種があり、2026 年から AREA 8 BOARD は値上がりします。
年内受注分は現在の販売価格でご用意させていただきますので、ぜひこの機会にご検討いただければ幸いです。
下記バナー先の動画もぜひご覧ください。
良いお年を!
★ 完全パッケージのエフェクターボード、AREA 8 BOARD 受注受付中です!
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※ 年内受注分は表示価格ですが、来年から値上がりする製品が複数含まれているため、2026年の受注分から販売価格の変更を予定しております。この機会にご検討いただければ幸いです!
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せておりますのでチェックしていただけると嬉しいです。『全都道府県に製作実績を』を目標にしておりますので、日本全国よりご相談、ご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。