「ヘルニアエフェクトボードデザイン」の根尾 悠です。
さっそくですが、第1回目はオーバードライブのPaul Cochrane(ポールコクレーン)/Timmy(ティミー)を取り上げたいと思います。取り上げたいと言いつつもTimmyの音質、効果的な使い方には今回まったく触れません。
■Timmy
現在、日本にいながら実に色々な国のエフェクターが手に入る時代になりました。
現物のあるお店で実際に試奏して気に入ったら買うという昔からのスタンダードな方式、時代は変わり、動画で見て気に入って通信販売で手に入れるポチット方式。
純粋な憧れから好きなアーティストが使っているのを見て欲しくなる、など手に入れるカタチ、動機は様々でも国内、海外問わず好きなエフェクターを手に入れることができる環境はとても恵まれているなーと感じています。
そんなエフェクター好きなお客様とお話ししていると時間もあっという間なんですが、次にお会いした時に、アレはもう手放してしまった、売っちゃったというお話もちらほら。
単純に好みが変わったからという理由もありますが、ある日こっそり打ち明けていただいたことがありました。
こっそりな告白をこの場で言ってしまうのもアレですが、実はとても多いご相談なので公にしてしまいます、はい。
そもそもの音のつくり方がわからない、というご相談なんです。
ということで、そういう場合に少しでもお役にたてる内容をTimmyの特徴を参考に書いていきたいと思います。
今回は主に歪み、ブースター、プリアンプ系のサウンドメイキングに効果的な方法です。
多くのエフェクターのつまみの効き方は左に回しきった状態で0、右に振り切って10 (図1:レギュラー 1)。
センターがあるモノはセンターから左に回せばカット、右に回せばブースト (図1:レギュラー 2)です。
コレを同時に色々試していくと良いポイントを探すのはなかなか難しいと思います。つまみの数が多いモノならなおさらだと思います。
ここで再びTimmy(ティミー)の登場です。Timmy のつまみはVolume、Gain、Treble、Bassの4つです。
VolumeとGainは左に回しきった状態で0、右に振り切って10という効き方です(図1:レギュラー 1)。
注目していただきたいのはTrebleとBassの効き方です。
Timmy のTrebleとBassは左に回しきった状態で10、右に振り切った状態で0 (図1:ティミー)。レギュラー1と逆になっています。
つまり「カット側にしか効かない」という感覚なんですが、これがひじょうに使いやすいのです。
サウンドメイキング時、まずはつまみを全部0にします。
Volume(音量)とGain(歪み)の効き方は通常なので、まずは欲しい音量、欲しい歪み具合にセットします。
ON/OFF(ウェット/ドライ)で音量差をつけたくない場合は音を出しながらウェットとドライが変わらない位置をON/OFFを繰り返し探り決めます。
ブーストさせたい場合はGain(歪み)との兼ね合いもありますが、好みの音量になるようにここもON/OFFを繰り返しながら決めておきます。
次にTreble(高域)とBass(低域)です。つまみの位置は0からスタートしますが、Timmy は効き方が逆なので0の位置で両方MAXです。
欲しい音量、歪み具合はセット済みなのであとは音を出しながらMAXな高域、MAXな低域のいらないところを削っていけばOKです。
弾きながら「出過ぎているなー」「ここまでいらないなー」と感じる高域と低域をカットしていけばおのずと好みのサウンドになっていくはずです。
この特徴を応用すると、通常のつまみの効き方のエフェクターの場合、イコライザーをMAX位置、つまり右に振り切った状態から同じ要領で始めればOKです。
足して引いてを繰り返して試行錯誤するよりも、最大値から削っていく、という感覚です。
これを「3ステップ消去法サウンドメイキング(図2)」と名付けておきたいと思います。
まとめます。
ステップ 1.BassとTrebleをMAXにしておいてVolumeで音量を設定
ステップ 2. Gainで歪みを設定
ステップ 3. MAXにしておいたイコライザーをカットしていく
足したり引いたりする全部12時の位置から始めるよりも、引くだけのメイキングの方が短時間で比較的簡単にお好みのサウンドが探れると思います。
ちなみにこの方法はアンプのサウンドメイキング時にも応用できます。
いかがだったでしょうか?この方法、ぜひ一度お試しいただけると幸いです。
最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。