こんにちは、ヘルニアエフェクトボードデザインの根尾悠です。
前回はディレイのマルチユニット、単体で使用する場合のおすすめプリセットの組み方などをご紹介しましたので、(⇒前回の記事はこちら)
今回はそのプリセットを実際にどう使っているか?を解説していきます。
その答えは「MIDIを使っている」です。
1つのバンクに2プリセットは見開きのノートと同じと書きましたが、10、20とプリセットが増えていくと瞬時に狙ったページを開くのが難しくなります。
ライブでリアルタイムに切り替えるにはちょっと手間なんですね。
そこで、よく使う部分には“付箋(ふせん)”を貼ったりしますよね。あ、ノートの話ですよ。
付箋を貼ることですぐにそのページを開けたり、付箋にメモを書くことで伝言として伝えることもできます。
この付箋の役割をしてくれるのが MIDI スイッチャーなんです。
いよいよ手前の黒く長いモノの登場ですが、今回はMIDI部分だけさらっと触れる程度でいきたいと思います。
ちなみにこのスイッチャーも「タイムライン(画像左下のディレイ)」と同様、プリセットが200まで組めます。
が、「20バンクに10プリセット」とバンクの数とバンク内のプリセット数が異なります。
ノートの見開き感覚は同じなんですが、こっちは区切り線がたくさんついた手帳に近いです。
1つのページに10項目分けて書き込める20ページの手帳、そんな感じです。
スイッチャーの「FREE THE TONE/ARC-53M」と、ディレイの「strymon / TIMELINE」はどちらもMIDI端子がついていて、それぞれに、
・MIDI IN
・MIDI OUT
があります。この端子にMIDIケーブルを接続する方法は、
・MIDI 信号を送る側の機器は「MIDI OUT」に接続 (スイッチャー側)
・MIDI 信号を受ける側の機器は「MIDI IN」に接続 (エフェクター側)
です。
それぞれにインとアウトがあるからと言って、アウトから元の機器のインに戻す必要はなく、送信側アウトから受信側インの一本で完了します。
■こんな感じ
なので、いくつか繋ぐ場合もアウトからインで繋いでいきます。
■こんな感じ
なんか不思議ですね。「手を繋げばみんな友だち、伝言ゲームやろうぜ!」みたいな感覚でしょうか。
これで MIDI 信号を送れるようになるのですが、この信号には、
・付箋と同じ「プログラムチェンジナンバー」
・付箋のメモ書きと同じ「コントロールチェンジナンバー」
という2種類の信号があります。
プログラムチェンジナンバーはノートのページにつける付箋、すなわち、好きなプリセットを瞬時に呼び出す信号を送ります。
スイッチャー側のプリセットに「この時はバンク48のB」「この時はバンク23のA」など入れておくことで一瞬で飛べます。
本体でバンクアップ、バンクダウンと恐ろしい回数を正確に踏むことなく瞬時に呼び出せるんですね。
しかもMIDI エフェクターには「この時は ON」「この時は OFF」という信号も送れます。
つまり、スイッチャー側でマルチユニットのプリセットの呼び出しのみならず、電源の ON/OFF までも管理できてしまうのです。激しく便利ですよね。
さらにすごいのは、MIDI対応のエフェクターが複数個ある場合、同時に別々のチェンジナンバーを送ることも可能です。
足が何本もないとできないような切り替えを瞬時に可能にしてくれる、それが MIDI プログラマブルスイッチャーです。
複数個使う場合はチャンネル設定が必要になります。付箋で言うと MIDI 対応のエフェクターごとに色分けする、っていう感じですね。
と、言うのがさらりとした MIDI の基本です。
ちょっと苦手、という方も多いと思いますが実はそんなに難しくなく、飛躍的に便利になるのが MIDI スイッチャーです。
まだまだ書きたいことはあるのですが、「MIDI についてもっと知りたい!」というご要望、お便りなどあれば書かせていただきたいと思います!
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などなど