こんにちわ、ヘルニアエフェクトボードデザインの根尾です。
先日、エフェクターの入れ換えのご依頼がありましたのでご紹介させていただきたいと思います。
Boston Bake Brothers Band のギター&ヴォーカル、鶴田 幸則 様のボードです。
初めての組み込みは 2015年の4月。ここ3年間で入れ替えは歴代最多。もっとも初期の頃はまだ細身のケーブルも限られたモノしかない頃で、通常のギターケーブルで製作しておりました。
取り回しも今になって思えば大変でしたが、現在は細身のケーブルで製作し、配置位置や角度、自由度が大きく増しました。本当になくてはならないものになっています。
今回が最後、完成形である、ということでしたが年数が経つにつれて使いたい音の変化があるのは当然ですよね。コアな部分はそのままに歪みだけ変わっていくパターンも多いです。
流れを見ていくと、一度外したエフェクターが再び戻ってきたりと感慨深いものもあります。
エフェクターボードはアルモアなんですが、アルモアの寸法ってちょっと不思議なんですよね。
キリのいいぴったりの数値ではないのですが、なぜか配置するとぴったりビタビタにハマることの多い寸法なんですよ。
ミリ単位で入る入らないの狭間はもちろんあるのですが、高さ調整やプラグ位置を工夫することで収まったりと本当に絶妙な寸法になってます。
試される大地で試されてる気がするんですよね。勝手に。
ということで、あの寸法は実はもーんのすごく考えられてはじきだされた数値なんだと思ってます。これを私はアルモア・マジックと呼んでいます。勝手にですが。
スイッチャーのあるボードです。つなぎ方にちょっとだけひねりがあります。
信号の基本的な流れはこんな感じです。
ギター
↓
■ FREE THE TONE / JB-21 / INPUT (ジャンクションボックス)
↓
□ FREE THE TONE / ARC-53M / IN 5 (スイッチャー)
↓
□ FREE THE TONE / ARC-53M / OUT 5 (スイッチャー)
↓
・xotic / Ep-booster (ブースター)
↓
・Bear Foot / Pale Green (コンプレッサー)
↓
□ FREE THE TONE / ARC-53M / HTS IN (スイッチャー)
↓
□ FREE THE TONE / ARC-53M / OUT (スイッチャー)
↓
・FREE THE TONE / FLIGHT TIME (ディレイ)
↓
・FREE THE TONE / AMBI SPACE (リバーブ)
↓
■ FREE THE TONE / JB-21 / OUTPUT (ジャンクションボックス)
↓
アンプ
このスイッチャーのループ5は独立 (セパレートループ) しています。
スイッチャーのバッファー効果を与えたくないエフェクター (ファズ、ワウなど) はここに接続して最初にIN5から入ることで、ギターの次、という繋ぎ方になります。ハイインピーダンスで受けられるわけですね。
で、OUT 5から一度出ます。スイッチャーから出て、再びスイッチャーの最初のインプットに入ることでループの1~4へつながります。セパレートループ使用の場合の順番はループ5→1→2→3→4→OUT、の順番になります。
セパレートループを使用しない場合はループ 1→2→3→4→OUT→IN5→5→OUT5、となります。
全部のループを使う場合はどちらの場合も一度出て再び入る必要があります。
この辺は図解説明した方がわかりやすいと思いますので別の機会に書いてみようと思います。
このボードはセパレートループを出た後にブースターとコンプレッサーを通ってからスイッチャーに戻っています。
このように接続することで、ギターからすぐの信号が欲しいエレハモ Mel9をまず通過、その次にくるブースターとコンプレッサーは歪み系の前でかけられる、というつなぎ方になっています。
スイッチャーのループはこんな感じです。
・LOOP 1 : VEMURAM / Jan Ray (オーバードライブ)
・LOOP 2 : bob burt / BBOD (オーバードライブ)
・LOOP 3 : bob burt / AH-1 (ディストーション)
・LOOP 4 : Radial / VIENNA CHORUS (コーラス)
・LOOP 5 : electro-harmonic / Mel9 (シュミレーター)
・TUNER OUT : BOSS / TU-3S (チューナー)
歪み系がスイッチャーにまとまることでノイズ対策にもなり、様々な組み合わせも一発で呼び出せるようになっています。本当、便利ですよ。
ディレイとリバーブはスイッチャーの外なんですが、ともに MIDI で接続されていますのでスイッチャーの外にいながらもスイッチャー側でプリセットも ON/OFF もコントロールが可能、というボードになっています。
一番は歌うことに集中できること、エフェクターの操作は最小限で効果は最大限、そんなコンセプトボードになっています。
鶴田 様よりコメントをいただきました。
皆さま 初めまして。Boston Bake Brothers Band Vo&Grの鶴田と申します。
札幌にて、オリジナルの歌ものを演っている、中年の趣味バンドです。私自身は、ボーカルギターに関しては、まだまだ初心者です。
そういった訳で、初心者の私がなるべく歌に神経を集中出来るよう、スイッチャーの導入を決意した際に知人からHNEBDの根尾さんをご紹介頂きました。
スイッチャーの選択は勿論、ボード自体をどのメーカーのどの大きさにするか…など、色々とご相談に乗って頂く所から始まりました。
また、何よりも助かったのが、スイッチャー導入時の、パッチケーブルの作成を始めとしたボード組み込み作業をお願いできた事です。
何分、音にダイレクトに影響を及ぼす部分ですので、不得手な自分が自作する…という選択肢は持ち合わせておらず本当に助かりました。
その後、バンドの曲が増えた事で、自分が弾くバッキングパートも色々とやってみたくなりました。
例えば、ディレイとリバーブを何パターンか設定し、スイッチャーと連動させて一発で切り替えたい…というような事です。
この際にもMIDI接続でどういう事が出来るのか?という、根本的な質問への回答から始まり、ボード自体を変えずに導入を検討している新たなエフェクターのシビアな配置が実現可能か…など色々とご相談にのって頂きました。
随所に工夫を凝らして頂いているこのボードは、使いやすくノイズも少なく、運搬や使用による故障や断線対策などにも気を配って頂いており本当に有難いです。
根尾さん、いつも本当に有難うございます!
このボードのおかげで、エフェクターの切替えに関してストレス・レスに活動出来ております。
おまけ
このボードのもはや歴史ですね。(笑)
入れたくなるかもしれない、というワウのスペースを空けて製作はスタートしました。
コンプもジャンクションボックスの上に乗ったり降りたりしてますね。
ワウがあったボードからワウを抜いたボードをあらためて見ると、もう入る気がしません。
本当に入ってたんだろか?と毎回思います(笑)