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疑惑のレスポール

初めまして。ギター屋funk ojisanの山嵜です。

これからリペア・メンテナンスのブログは店長の河田、スタッフの山嵜、藤田の3人で連載していくことになりました!

日々どのような修理をしているのかを紹介していこうと思ってます。内容が重複してしまう事もあると思いますがご容赦ください!

疑惑のレスポール

さっそく紹介していきたいと思います。まずこちらは先月持ち込みされたギブソン、レスポールです。

写真だと伝わりづらいですがトップのアーチ加工がギブソンっぽくない…

ロゴが上過ぎる…?

シリアル番号なし…。『MADE IN USA』の配列の感じ…。

うーん、、本物っぽいようなそうじゃないような…

レプリカだった

実はこのギター、お客様も本物じゃないとはわかって購入したとの事でした。楽器屋の店員さんからは『どっかのおじさんが趣味で作ったギブソンレスポール』と説明されたそうです。笑

ある意味ロマンを感じます。

気になる症状はというと…

①順反りが非常に激しい
②トラスロッドのナットが舐めてしまって回せない

でした。

回らないトラスロッドの恐怖

単純にトラスロッドが締まり過ぎてこれ以上順反りを直すのが難しいだけなら、フレット交換、指板調整で良くなるのですが、ナットが舐めてしまって回せないというのは結構重症です…。

まるい!何をしたらこんな状態になるのか…。

舐めて丸いだけならまだしも錆で固着してる部分もあり、取り外すのはかなり困難です。

ちなみに本来のナットの形はこちら。

ちゃんと六角になっています。

まず錆び取り剤を吹きかけてラジオペンチで回そうと試みるも、なかなか上手く力がかからないのでそんな簡単には回りません…。

そこで、棒を差し込めるように小さい穴を開けることにしました。ハイエンド系によく見られるホイールナットの要領ですね。

ボール盤で慎重に穴を開ける事に成功。しかし固着が強く、まだ回りません…。

温め作戦!

力ずくで回そうとするのは危ないので、何とか錆の固着を取らなくてはいけません。そこで使うのがハンダゴテです。

錆び取り剤を吹きかけて、ハンダゴテで温めるとジュワッと錆び取り剤が沸騰します。それを何度か繰り返し、回してみるとググッと緩みました!

ここまでくればペンチでつまんでも回るので安心です。

新たな問題

無事ナットが外れ、新たなナットを取り付けました。順反りが直らないところでロッドが締まりきってしまうのが怖かったのですが、まだ余裕があるようで安心。

しかしここで新たな問題が…

①ネックにねじれがあり、プレイアビリティにもかなり支障が出るレベル

②ナットの弦溝が限界を超えて低かったので開放弦で音がびりついてしまう

③指板Rがギブソン系ではあり得ないほどきつく、各弦の弦高バランスが悪い

ギターって正常な状態にしてみないと細かな不具合がわかりづらいんですよね。今回の場合はネックが真っ直ぐに近づいた事で、起こり得る問題が多発したという感じです。

詳細な作業内容に関しては省略させていただきますが、フレットのすり合わせ、ナット交換、ブリッジの駒の溝調整で対応。とても良いギターに生まれ変わりました。

 

最後に

今回のようにあまりにネックが反ってるギター、弦高が高過ぎるギターなどはベストな調整にすると他の不具合が目立ってしまう事が多いです。

ネックのハイ起きやフレットの詰まりなどなど…。弦高が高い事でその問題に気付きづらいんですよね。

もちろんお見積もりの際に『こっちを直すとあっちも直さないといけないかもしれません』というようにご説明はしておりますが、費用が上がってしまうので『そこまでできない…』と途中で断念されてしまうお客様も少なくありません。

当店で受け付けている完全メンテナンスコースでは痒いところまで手が届く内容になっておりますので、何か弾きづらいと感じたら是非お申し込みいただければと思います。

長くなってしまいましたが今回は終わりです!読んでいただきありがとうございました!

完全メンテナンスコースはこちら

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