ご無沙汰しております。ギター屋funk ojisanの山嵜です。
ありがたい事にとても多くの修理を請け負っており、多種多様なギターに囲まれて充実した毎日を過ごしております。そんな中一本のギターが僕の元へ。
ご依頼内容としては『12フレット付近で音が濁る』とのこと。
メールには『ヴィンテージではないですが古いギターです。』とあり、ケースを開けて見ると確かに古い。貫禄がある。
ネックやフレットの調子が悪いのに加え、ナットも溝が深くなりすぎていて開放弦で音詰まり、ブリッジのイモネジも斜めになってしまっていて弦高バランスも悪い…。ネックも、こんな節がある部分を使うのか?という木を使っています。
正直に申し上げますと、最初の状態が悪いこともあってなんかイマイチなギターだな〜と思ってました。
それがまさか56年製のストラトだったとは…!!!
ブリッジのイモネジが傾いている件に関してはイモネジ、もしくはブリッジの駒も変えなきゃ良くならないかもしれないな〜と、まだ何も気付いていない僕はご依頼主様に相談の連絡をしました。
すると『実はそのギターは56年製の古いものなので、なるべくオリジナルパーツは残したい』とのこと。
ええええええ!!!!!!!!!!!!!!!
ヴィンテージではないですが古いギターです、って言ってたじゃないですかあああああと心の中で叫びました。
とんでもないサプライズ…
めちゃめちゃ貴重なギターだということが判明しても、やる事は普段と変わらないので気を取り直して作業にとりかかります。
まずは開放弦の音詰まりの原因、ナットを交換。
12フレット付近の詰まりの原因、フレットのすり合わせ。フレットのすり減りに加え、ハイ起きも感じたので、ハイフレットは結構削る事になりました。シャカシャカ。
幸いなことにブリッジの駒には問題はなく、イモネジの交換だけで済みました。よかった…。
最後に、新品の弦に張り替えてからネックの反り調整、弦高調整、オクターブ調整を改めてしっかり確認して終了。
古い弦のまま調整すると思わぬ不具合が出ることが多いので、ご自身で調整を去れている方は気を付けてみてください。
50年代のヴィンテージギターをメンテナンスしたのは初めてなんですが、まさかチューニングするだけでこんなに楽しいとは思いませんでした。
開放弦をぽーん、と鳴らすだけで何という幸福感。音詰まりがないかを確認する為だけのクロマチックスケールの運指を永遠にしていたい〜!という気持ちになるくらい最高の音でした。
そして改めて調整の大事さを思い知らされました。
当たり前の事ですが、どれだけ貴重で高価なギターでも、調整をしない事には本当の良さって引き出せないんですよね。
オリジナルパーツにこだわって、コレクションするだけならコンディションにこだわる必要はないかもしれないですが、やっぱりギターは弾いてなんぼ!と僕は思います。
楽器は最大限のポテンシャルを発揮させてあげると『このギターは実はこんなに良いものだったのか!』という驚きや発見にも繋がります。
ヴィンテージでも何でもバリバリ現役で使っていきたいー!という方、ぜひご相談ください。
そして必ず『ヴィンテージですが』と一言添えてください!!笑
最後に、今回紹介したギターを紹介している動画があるのでぜひご覧ください。もちろん気になるサウンドも聴けますよー!