funk ojisanギターリペア担当の藤田です。
ギターのナットは切り方一つで音も変わってしまう非常に奥の深い世界ですが、今回はナットの素材についてのお話です。
先にネタバレしておくと、当店激推しナット材の紹介です。
プラスチック、TUSQ、象牙、カーボン、ブラス、デルリンなどなど…古今東西色々なナット材が存在しますが、最もポピュラーなナット材と言えば牛骨ではないでしょうか。
こちらが一般的な牛骨ナット材で、左が漂白、右が無漂白です。無漂白の方が油分もあり、見た目もどこかトラディショナルな風貌ですね。
当店では指定がない場合は、こちらの無漂白牛骨を使用しています。
そして今回お薦めするナット材がこちらです。
はい、どっからどう見てもとても骨です。
前述の漂白・無漂白牛骨は実は粉末を固めた言わば集成材だったりします。
じゃあもう骨から切り出して、削り出し牛骨ナットを作ってしまおうという訳です。
早速切り出して行きます。まだまだ骨感が強いですね。
平面、直角を出すところは出してナットらしい形になってきました。
ここまで来れば普通のナット材の手順と同じですね。
ただ、無漂白牛骨と比べるとナットの切り心地に粘りがあるというか、詰まっている感じがあるというか…。
骨の内側と外側では感触が違ったりと、なかなか天然素材感たっぷりで面白いです。
そしてギターに取り付けて完成です。
どこか象牙のような煌びやかさも持ち合わせたとっても素敵なサウンドです。
やはり素材から作るナットは良いという訳ですね。見た目もツルッと良い感じです。
実はこの牛骨は、国分寺の某ラーメン店のスープの「がら」だった物です。
ラーメンのスープにもなってギターのナットにもなって牛って凄いですね(?)。正に一粒で二度美味しい。
トレモロ付ギターにはオイル漬けも滑りが良くなりお薦めです。
私はただいまこの牛骨削り出しナットにラーメン感を取り戻させる為に、ラー油に漬けてみています。
果たしてその結果は?…多分、続きません。
そういった訳で、ナット交換と併せて削り出し牛骨ナットのご依頼もお待ちしております。