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追記 : ケーブルの方向性の話

札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。

連日続いた異常な暑さも過ぎてしまえばそんなことあったっけ?ってくらいに涼しくなってきました。北海道ナイス。

さて、先日メルマガに書いたケーブルの方向性のお話、なんと実際にケーブル製造販売に関わりのある方からお便りをいただきました。大変勉強になりましたので要約しつつ、僕のその瞬間に思ったことを織り交ぜつつ、追記として書かせていただきます。

先日の内容はこちら
→「ケーブルの方向性の話」

どんなケーブルにも方向性は、ある

「結論、どんなケーブルにも方向性はあります。が、そこには説明が必要でその製造過程で「金属結晶の構造」に一定の方向性が発生することによるもの」とのことです。

「ごく大まかに説明するとケーブルは原材料の太い軟銅線を細く引き伸ばし、撚り合わせられた後に、絶縁被膜をかぶせられて完成します。最初の引き伸ばし工程の最終段階で「焼きなまし」がされます。さらに被膜をかぶせられる時に高温をかけて押し出されます。この「焼きなまし」と押し出される時に金属の結晶構造に方向性ができます。これが電流を流す方向性に関わってくるもの」とのことでした。

ちなみに金属に限らず、分子レベルでの電気的な方向性、というのはいろいろなモノに存在するそうです。

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 金属結晶、と聞いて僕はクライオ処理を思い出しました。

アレは冷却することで結晶間の隙間を埋めるような再配列を行い、ロスの少ない信号伝達を実現する、という認識ですが、そういう類のお話に通ずるモノがあるな、と思いました。

音に対してどう関わるか

ここが問題なのですが、はたしてそれが音に対してどう関わるか、というお話です。測定器で測定しても方向性につながるデータ、というのは出ないそうです。

「じゃあ聴いてわかるか、というと残念ながら音に敏感な人・そうでない人で大きな差が出ます。だから「わからないから方向性なんてない」という人も多いそうです。」とのことです。

ですが、僕の先週記載した目的は違えど「シールドの向きを揃える」、というのは実は大きな意味がある、とご指摘いただきました。

「これはあくまでも経験則ですが、方向性というのはずっと同じ方向で使い続けることでクセみたいなモノがつき、常に同じ方向で使い続けることが大切で、印字の逆方向でも常に同じ向きで使い続ければその方向性がつく、そうです。とくにエフェクターボードなど、頻繁に入れ換えたり数珠繋ぎで設置するモノは常に同じ方向を向いていた方が良いでしょう」

とのことでした。

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 ぼんやりと僕はポッキーを思い出しました。ポッキーは持ち手がついていますよね。逆側はチョコレートです。僕は持ち手で手が汚れないようにしたい、絶対。となるものですが親戚のリトルチャイルドは常に逆をつかみ手についたチョコも舐める、それはクセみたいなもので多分、そのリトルチャイルドにとっては常にその食べ方がベストということか、なるほどなと全然違う解釈ながら似てる部分があるんじゃないかな、と思いました。

ポッキーは製造過程で入っている向き揃ってますしね。あべこべで入ってたら食べずらく、時間ロスするのは間違いないが、仮に逆に開けちゃったらそれはそれでなんとかしますもんね。

全然違う解釈と思ったけど、意外にも近いモノあるんじゃないかしら。

製造上発生した方向性はある、ただ聞いてわかるかは別の話

と、元々製造段階での方向性というのはあるモノだけど、それを聞いてわかるかは別のお話、ということです。どっちでつないでも音は音、音は出ますからね。

その音が気持ちいいのか、きもちくないのか、判断基準はその人の中にあります。

「金属結晶レベルでの方向性が存在する以上、いかなる場合もずっと同じ方向で使ってあげればそれがいつか方向性となる、INからOUT、ギターからアンプ、常に向きを揃えて使ってあげるのが精神衛生上(笑)もいいですよ」ということでした。

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 余談ですが、私はケーブル類の製作時、一本一本完成した時にはパッチケーブルはサラの状態ですので、アンプで音出しチェックする際も向きを合わせてチェックしています。そこで初めてつながるわけですから最初が肝心、あなたはあなた、と思ってやっておりました。

結果、妙なこだわりは分子レベルでは間違っていなかったんだな、と思えた瞬間でした。

方向性のないモノは世の中に存在しない

ここも聞いて納得でしたが、木でも紙でも金属でも人間でも(ポッキーでも)みんな方向性はある、方向性が定まっていないものもあるが、それは定まっていないだけで、定まっていないという方向性がある、と考えるのがいいんじゃないでしょうか?

「工業製品は製造ロットによって方向性がバラバラなこともある、もともと方向性はあるけれど、製造元がそれを管理して生産していなければ、結果的にないのと同じ」とのことです。

「結果、製造上の方向性はあってもシールドは常に同じ向きで使い続ければ問題はない、そんなことは気にならないという場合は元々気にしなくても良いですよ」

と括られておりました。

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 ここで私は妖怪「逆柱」を思い出しました。

見えんけれどもおるんだよ精神の私は諸々気にする方なので、シールドも同じ向きで使用してきましたし、ギターを壁掛けにした時は 2×4 の向きも多分こっちが上だよな、とディアウォール的な、DCM (元 : 石黒ホーマ)のラブリコで設置しています。

気にしなけりゃどっちでも設置可能ですし、気になる場合は合わせればいい、そんな自由さが合ってもいいと思います。

木造建築上、一本だけ逆柱にすることもある、完全なモノは良くない、という伝承を聞いたこともありますが、ボードは完全なモノにしたいものですしね。

でも線材は一本だけ逆向いたとしても使い続ければその方向性になるなんて、なんてフレキシブルな!やりませんけど。

ちなみに妖怪「逆柱」…じゃなくて木造建築上~の件も実は詳しく教えていただきましたがそれはまたいつか別の機会に(笑) いろんなことを実体験を元に教えていただける方ですので私は日々感謝しております。

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実体験に基づく情報、実際に関わっている方のお話は大変貴重なものです。お便りいただき、本当にありがとうございました。個人的に激しく勉強になりましたのでシェアしたいと思います。

ポッキーに限らず、プリッツやトッポもどっちが先なのか今度買った時にはじっくり眺めて確認したいとも思います。

実は今回、これまでで初めてのことになりますが、いただいたお話を元に私が書いた内容をあらかじめご確認、校正していただきました。

この場をお借りしてお礼申し上げます。本当にいつもありがとうございます。

■HNEBD 地獄通信 -お知らせ-

★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。

 

★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら

根尾悠のヘルニアエフェクトボードデザイン

 

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