札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
ちょいちょいうちのおじぎ草について書いておりましたが、先日ついに私の背丈(171cm) を越えました。これはもはや『草』という枠ではないのではないか。
今年の冬も越えて木となってずっと生きてほしい。あと、たくさんついたきぬさやみたいな種を取るタイミングが謎。不思議な植物である。
さて、今回は特大サイズのアルモア、カスタムオーダーボードの製作例です。
北海道 札幌市の T.A 様のエフェクターボードを製作させていただきました。実機採寸後のサイズは W820 x D432 x H100 mm、ご依頼ありがとうございました!
こちらのメールに不具合があったようで、送ったメールが送信済みになっているのに届いていないということがある、ということが最近わかりました。
問合せしたのに返信がない、という方がもしもいらっしゃいましたら、大変お手数ですがもう一度ご連絡いただけますと幸いです。通常、当日または翌日には返信させていただいております。
はじめに、幅は 850mm 以内で、というご指定がございましたので詰めに詰めて内寸を 820mm に、外寸は 840mm でギリギリクリアでした。
既製品ではないカスタムオーダーボードには実機採寸とは言っても攻めるスリルがあり、なかなかハードなチャレンジでした。
正面からです。
最上段のラインがもっともタイトでハラハラしましたが、隣同士のエフェクター、上と下で重なるプラグが触れそうで触れない高さのかさ上げ台を部分部分で製作しなんとか交わす組み込みになっております。
入換のご希望カ所、エフェクターも複数個あったため、その部分に各エフェクターが全て収まるスペースの確保、入出力位置が異なっても接続可能なパッチケーブルの長さ、入換時、抜き挿しのしやすい間隔にしています。
入換機種によっては AC アダプター供給となるところもあるため、使わない時もある DC ケーブル端子にはカバーをつけています。
打ち合わせ最終一歩手前のレイアウト図はこんな感じでした。
一度すべてをお預かりさせていただいておりますので入換候補のエフェクターも含めクリーニング、入換前提のマジックテープ加工をしています。
全アイテムで 30 個、一枚のボードでは過去最大の個数です。
左側面からです。
各サイズをこちらで指定することのできるカスタムオーダーボードでは、内寸の高さを多めにプラスすればかさ上げで幅を詰めるのは難なくクリアできます。
ですが、あまり厚みが増すと外観のエフェクターボード感が薄れますので極力薄くしたく。
ここのご指定はなくとも内寸の高さはよほど背の高いエフェクターがない限り100mm を上限と個人的に設定しています。重量も変わってきますからね。
ご使用時はもちろん、移動時、保管時もスマートに見えてほしいので極力薄く、中は低く、フタを閉めた時に当たらないギリギリの高さで交わしていくわけです。
いろいろなポイントをトータルで見て合わせて確認、合わせて確認という工程が多々ありましたが、楽しかったです。
このサイズになるとフタのみでも、『これフタだけなの?』ってくらい重いので製作途中、何度も必要なフタの開け閉め確認はなかなかヘヴィでした。これもまたうまくハマった時の達成感がいつも以上に増すマジック。
右側面からです。
ワウには ON/OFF がわかる LED が欲しいということで左側面に ON/OFF の LED を追加しています。ON/OFF スイッチの切換え感もお好みに合わせて加工しています。
途中経過は安定して撮り忘れておりますのでどちらも画像からは見えません。ウップス。
背面からです。
strymon / Ojai R30 は 2 段積みになっています。
ここはかさ上げ台の足場をつくる幅の余裕がないため、厚手の両面テープを重ね積んでいます。
画像で見るとくっついて見えますが、実際はある程度の隙間ができているので本体同士は直接当たらないようになっています。
各部分に合わせられるテープの存在があって、その手の資材が豊富なお店がわりと近所にあってよかったー、と思います。
重複しますが、両面テープによる高さ、マジックテープによる高さって地味にありますので本当にそれでいけるのか、製作途中のフタの開け閉め確認は激しく重要です。
FREE THE TONE / ARC-53M & LB-2 と strymon / CONDUIT の組み合わせで様々な設定がスイッチャーひと踏みで瞬時に呼び出せるシステムになっています。
FREE THE TONE / LB-2 についての記事もありますのでご興味ある方はご覧ください。
LB-2 を増設するとループ内のエフェクターをスイッチャーのプリセットに含めることができるため、セッティング幅が広がります。
MXR / TAP はスイッチャーの EXT 端子に繋がっておりますので本来、足では操作できない LB-2 / C1 または C2 いずれかのループの ON/OFF に割り当てることが可能です。
演奏しながらプリセットセッティングを探る時に使う、そんな使い方ができるわけですね。
他機能も割り当て可能ですので様々なケースに対応することのできるオプションスイッチ、という感じです。
余談ですがこの場合の MXR / TAP との接続はモノラルケーブル、つまり通常のパッチケーブルで OK です。
より具体的に書きますと FREE THE TONE / ARC-53M の MUTE スイッチに C1、MXR / TAP に C2 を割り当て演奏しながら LB-2 の ON/OFF セッティングを決める、本番は ARC-53M の MUTE スイッチを C1 割り当てから元の MUTE に戻す、といった感じです。
リアルタイムにセッティングできるようにもしたい、というご要望からこのような方法をご提案させていただきました。
MIDI 接続は FREE THE TONE / ARC-53M から strymon / CONDUIT へ。
そこから
・FREEDMAN / IR-X
・strymon / TIMELINE
・strymon / blue sky V2
・FREE THE TONE / IG-1N
上記 4 つのペダルが MIDI で繋がっています。
これまでの strymon / blue sky は本体の FAVORITE スイッチでプリセットが 1 つつくれました。
後継機種 V2 は MIDI 対応となり、突如プリセットが 300 という過激なバージョンアップで恐ろしいほど多彩なバリエーションがつくれるようになりました。
ここを活かしきるには MIDI とプリセットに対応したスイッチャーが必要ですが、それにしても 300 はすごい数です。
全部使う、そんなに使わないではなくそういうこともできる、したくなったら対応してくれる、まだ余裕がある、というのが重要かと思います。にしてもすごい。
トータルの長さはパッチケーブルが 1241cm、TRS ケーブルが 153cm。
プラグはモノラル 50 個、ステレオが 5 個で合計 55 個、なかなか見ない数字です。
ステレオプラグが奇数なのは片側が 3.5mm ステレオミニプラグの MIDI ケーブルをstrymon / CONDUIT との接続のため、元々の DIN プラグ側をステレオプラグに交換しているからですね。
ひとつのボード内でも製作バリエーションは実に様々でした。
CONDUIT と blue sky 間は TRS ケーブルで MIDI 接続できたり、進化というか変化というかいわゆる DIN / DIN の一般的な MIDI ケーブルではない MIDI 対応機材が増えている気がします。
一般的な MIDI 端子には完全に向きがあるので MIDI ケーブル側で変更できれば問題ないのですが、できないタイプもありますのでそういう点でも TRS 対応はありがたいものです。
横幅が 800mm オーバーなので耐久性重視で剛性の面はおまかせしますとオーダー時、アルモア様へ伝えるとヒンジが 3 つの図面が上がってきました。
細かい部分ですが、重量もヘッドアンプ並みになるのでハンドルも既製品とは異なるタイプになっております。
ボードの側面ハンドルは製作前の打ち合わせから追加取付が決定しておりました。
外観に厚みが出ると小型シンセ、キーボードのハードケースに見えなくもなく。
もちろん安全性が第一ですが、組み込み方でどっちも取れるなら安全で薄いがベストと考えております。
エフェクターボードはどこからどう見てもかっこいいモノであってほしいのでそんな仕上がりになるよう狙っていくわけですね。
最後に T.A 様よりご感想をいただけましたので、合わせて掲載させていただきます。
『 MIDI も絡んだ大型ボードを組むにあたって、無知な私にも丁寧に知識をご教示いただき、一生モノの素晴らしいボードを製作してくださいました!
完成したボードで鳴らしてまずビックリしたのは、圧倒的なノイズの無さと綺麗な出音です。コレには、自分も含め他のバンドメンバーも本当に驚かされました。自分で組んで使用していたボードのそれとは、とても比べ物になりません。
また、絶妙な高さで調整されたかさ上げ台をはじめ、「複数のペダル入換も可能にしたい」という私のわがままにもバッチリ対応、抜群の使いやすさにも感激しました。組み込み予定のペダルや機材は予め決めておりましたが、外部ミニスイッチやループ増設など、お打合わせの中でニーズに合うアイテムを的確にご紹介してくださったのも、大変嬉しかったです。おかげさまで、痒い所に手が届く、更に機能性がアップしたボードになりました。
そして組み上がった後、複雑な MIDI などのアフターフォローも嫌な顔ひとつせず、親切にご対応いただきました。本当にありがとうございます。とにかく感謝してもし足りません。メインボードとして、末永く愛用させていただきます!現在ゆるーく検討中のサブボードの方も、引き続きよろしくお願いいたします。笑 』
だいぶマニアックな内容となってしまいましたが、こんな感じで製作させていただいております。
T.A 様、本当にありがとうございました!
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを 「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
→Instagramはこちら
『全都道府県に製作実績を』を今後の目標にしておりますので、日本全国よりご相談、製作のご依頼、心よりお待ちしております。フォローしていただけると大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。