札幌のエフェクターボード製作屋、ヘルニアエフェクトボードデザイン根尾です。
最近は Shazam の結果間違いで偶然知った Isadora Pompeo さんにハマっています。トレモロが心地よくマゼマゼ、マゼアワセルトーと何かを混ぜたい空耳感が強め。
はい、今回も最近の製作例です。楽器好き、機材好き、アルモア好き、私の好きなモノとの共通点も多かった 久米田 純 様のエフェクターボードを製作させていただきました。製作のご依頼、色々な仕様のご提案と発見、本当にありがとうございました!
エフェクターボードはアルモア、デザインケース・カスタムメイド、数枚のレイアウト図と打ち合わせの結果、寸法は W610 x D380 x H95 で決定。
使用するパーツの基本仕様は PS シリーズと同じ、外観も既製品同様ブラックですが、エフェクター設置面は FRP でフラット、カラーはダークグレーでオーダー。
アルモアサイトのカラーバリエーションで見る色よりも現物はやや薄め、レトロかっこいい色味で激しくナイスです。
サイズオーダーについて、気になる方は少し前の記事をご覧ください。
(→記事はこちら)
完全に使う方の仕様で作ってもらえる自由度。アルモアさん、やはり好きです。
正面から。
基本はブラック&ホワイト、Markbass のふたつはシルバーに薄めのオレンジ、パワーサプライと空間系はブルー、ダークグレーの底面とどれもいい感じにハマってると思います。
エフェクターの LED が ON になるとレッド、グリーンが足されたりしますので色味のバランスが本当に綺麗だなーと思う、そんなセレクトです。
FRP の色味もボードの一部、ホコリが溜まるのを避ける、こまめに掃除がしやすいようにというご要望もあり、こちらはエフェクター部分のみのマジックテープ固定です。
tc electronic / polytune2 noir が本体的にやや右寄りですが、本体操作ありのため、スイッチが両サイドのスイッチとの中間にくる位置にしています。
左から。
この画像だけを見て「ん?」という違和感に気づかれた方は鋭い strymon ファンかと思います。違和感の正体については少し前の記事をどうぞ。
(→記事はこちら)
右から。
中段は一列並び、かさ上げしています。
背面から。
パワーサプライは久々の strymon / Zuma R300 & Ojai R30 の二階建て仕様。ケースの内寸、高さを増してもらった分、かさ上げ台もこれまでよりやや高さを足しています。
■ ベース
↓
■ HNEBD / CUSTOM IN & OUT / IN
↓18cm : Short S / Flat L
■ Darkglass / HARMONIC BOOSTER
↓ 32cm : Flat L / Flat L
■ tc electronic / polytune 2 noir
↓ 36cm : Flat L / Short S
■ Providence / PEC-4V / IN (LOOP 4)
□ LOOP 4 : MARKBASS / OCTAVER
S4 : 65cm : Short S / Flat L
R4 : 71cm : Flat L / Short S
■ Providence / PEC-4V / OUT (N.O)
↓ 62cm : Short S / Flat L
■ Tarman-studio / INFINITY LINE
↓ 33cm : Flat L / Flat L
■ Markbass / Mark Vintage Pre
・SEND / 40cm : Flat L / Flat L・
・RETURN / 28cm : Flat L / Flat L・
↓ 31cm : Flat L / Short S
■ Providence . PEC-4V / VZ IN
□ LOOP 1 : ROGER MAYER / VOODOO BASS
S1 : 30cm : Short S / Flat L
↓ 20cm : Flat L / Flat L
□ MXR / M108 TEN BAND EQ (R)
R1 : 43cm : Flat L / Short S
□ LOOP 2 : MXR / M108 TEN BAND EQ (L)
S2 : 43cm : Short S / Flat L
R2: 55cm : Flat L / Short S
□ LOOP 3 : ViVie / Dolphin Deverb
S3 : 60cm : Short S / Flat L
R3 : 59cm : Flat L / Short S
■ Providence / PEC-4V / OUT
↓ 67cm : Short S / Short S
■ HNEBD / CUSTOM IN & OUT / OUT
Total. 793cm
ベースから、アンプへ、に加え Markbass / Mark Vintage Pre からのセンド&リターンも接続可能なジャンクションボックスを製作させていただきました。
tc electronic / polytune2 noir は Darkglass / HARMONIC BOOSTER の後ろに来ています。エフェクター(ON)の後にチューナーです。
チューナーはミュートも兼ねており、この接続順の方がポップノイズがのりにくいんじゃないか、というご提案があり、実際に実機で比較した結果、このようになっています。
チューナーのスイッチを ON/OFF にする時の状態がハイインピーダンスかローインピーダンスかで差が出る(こともある)わけですね。色々試すわけですが、環境や組み合わせ、電源の違いによって出る場合もある、と言った方がいいかもしれません。
結果的にこっちの方が出ないことの方が多かった、という接続方法になります。
何事も実体験に基づく、というのがもっとも重要かと思います。
手前が歪みで ON だとチューニング時に問題出ますが、プリ的なエフェクターのため問題なしです。
しかし、Darkglass 久々に触れましたがやはり圧倒的に良いですね。音はもちろん、佇まいも形状も質感も操作感も、「他とは違う」感がすごい。欲しい。
実測値を計測後、接続位置を仮決め、接続してサウンドチェックの後に決定、という流れです。
今回のエフェクターは9V以外に 12V 供給が 2 台、18V 供給が 2 台あります。9V、12V、18V を変換できる供給口は 3 つのため、1 つ足りません。
9V で取って 18V にしてくれる Xotic effects / VOLTAGE DOUBLER がどこかに隠れています。絵本、ミッケ!的な。
ほぼ見えませんが strymon / Ojai R30 もいますね。絵本、ミッケ!的な。
strymon のパワーサプライは EIAJ ケーブルというのでつないでリンクで増設できますので電源ケーブルは Zuma R300 からの一本のみで OK です。
レイアウト図のイチブ、Zuma のシャーシは反転前ですね。
今後こうしよう、というアイディアが製作途中に出てきたりといろいろ発見のある製作でした。
最後に、久米田 純 様よりコメントをいただけましたので合わせて掲載させていただきます。
マダムに「相変わらずお美しいですね」と言うのはお世辞だったりしますが、このボードの製作者に対しては心の底からそう申し上げたいと思います。
この美しいボードから出るノイズは極限まで少なく、この美しいボードから出るサウンドはどこまでもクリアである、と。
美しいものは秀でている、いや、秀でているからこそ美しいとも言えますが、これは何事にも当てはまるとか。
インゲマル・ステンマルクの美しいスキーは速い。モハメド・アリの美しいボクシングは強い。いとしこいしの美しい漫才は面白い。
リチャード・ティーの美しい左手の動きは猛烈なグルーヴを生む。エドワード・ヴァン・ヘイレンの美しいピッキングはトーンマジックを生む。
そして根尾 悠の美しいエフェクターボードは演者を魅了する。
魅了された演者の手によって生み出されたサウンドは、やがて観客やリスナーを魅了することとなる。
このサイズ、自作はムリだわ、というワタシの諦めからスタートした本ボード製作でしたが、札幌のマエストロに依頼して本当に良かったと思っております。
この度は誠にありがとうございました。
激し目にお褒めいただき過ぎ、恥ずかしいですがご満足いただけて嬉しく思います。
久米田 純 様、この度は本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
■ HNEBD 地獄通信 -お知らせ- ■
★ 2022年に製作させていただきましたギタリスト高橋 克 様のエフェクターボードを「こちら祇園二丁目濱田製作所 様」にてご紹介いただきました。ありがとうございます。 HELL NEAR EFFECT BOARD DESIGN 製のエフェクターボードの音がご本人様の演奏で聴けます。
★ 過去製作は Instagram に載せていますのでチェックしていただけると嬉しいです。
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